馬の睡眠

睡眠馬寝る馬

人間の睡眠時間は年齢にもよりますが、約7時間前後が理想と考えられています。かつては8時間の睡眠が必要と言われていましたが、さまざまな研究から、現在はもう少し短めがいいという結果が出ています。

それに対して馬の深い眠りは3~4時間ほど。深い眠りの間も人間のように3時間スヤスヤ眠るわけではなく、十数分おきに起き上がったり寝たりをします。

深い眠りの時間だけをみるとナポレオンなみのショートスリーパー。のように見えますが、馬は立ったまま微睡むことができるため、必ずしもそうとは言い切れません。

馬は立ったまま寝ることはご存知の方が多いと思います。立ったままの「浅い眠り」も含めた休息行動には毎日5時間~7時間ほど費やされているため、「睡眠」の定義次第ではもう少し長くなります。

馬の睡眠サイクル

馬が横たわって眠る睡眠時間は3~4時間程度。夜中が多いとされています。

馬の睡眠も人間と同じくレム睡眠とレム睡眠があります。横たわっての睡眠中もぐっすり眠るわけではなく、十数分おきに起きたり寝たりを繰り返しています。

(ごろごろして壁に近づきすぎると自力で起き上がれなくなったりするのですが…寝違えと呼ばれる)

 

立ってまどろんでいる時は反応は早いですが、ノンレム睡眠はいわば熟睡状態なので緩んでいます。

▼夢見がちな馬、ではなく、夢を見ていると思しき馬

睡眠時間は年齢や運動状況によっても異なり、若い子ほどよく眠ります。「寝る子は育つ」は馬にも当てはまるのでしょう。

先ほどから出ている3~4時間は深い眠りの時間。立ったままウトウトする浅い眠りを含めればもう少し長くなります。

長時間ぐっすり眠る馬は捕食者に食われてしまい、今のような睡眠サイクルの馬が生き残ったと考えられています。横たわっての睡眠中に短時間で目を覚ますのは、長い間同じ体勢のままいると内臓や血流への影響が出かねないことも影響しているのかもしれません。

もう一つの要素として、草を食べる時間が長いということも考えられます。

厩舎にいる馬は定められた時刻に飼料を与えられますが、放牧された馬は日がな一日草を食んでいます。1歳馬の昼夜放牧中に移動した距離を測ったところ、8割は食べながらの移動だったという結果があります。

昼夜放牧での移動距離はおよそ13kmでそのうち約80%にあたる10kmは採食しながらの移動であったという。GPSによって求めた成績でも、それぞれの歩法での移動距離の割合はほぼ同じである。

放牧 – 競走馬の心技体 ドクター平賀の“競走馬の運動生理学”

食いものを求めながらの移動がほとんど。食ってばかりいます。食うのに時間を費やさざるを得ないというのも、睡眠の短さに影響しているのでしょう。

 

馬が立ったまま眠れる理由

睡眠馬寝る馬

馬が立ったまま眠れるのは、肢の構造に由来します。立っているために筋肉の力が必要な人間とは異なり、馬は筋肉の力によらず立ち続けることができるのです。

馬は立って休息しているときには、ほとんど筋肉の力を使っていません。休息姿勢をとったとき、四肢の各部の関節は骨と骨をつないでいる靱帯(じんたい)でしっかり固定され、スッと眠りに引き込まれても決してひざがガクンとしたりはしないのです。

馬博士楠瀬良の“競走馬のこころ”

じん帯によって関節を固定することができるため、休息状態で立っているだけなら意識する必要もないというわけです。

馬運車(馬を運ぶための車:馬匹輸送車)による輸送だけでなく、航空機を使った長距離長時間輸送でも立ったままで問題がないのは、馬が立ちっぱなしでも平気な体の構造をしているためです。

 

馬は立ったまま寝られるのですが、横たわれない状態が続くと睡眠不足になります。ケンタッキー州馬研究所では、最低でも30分間は横たわれる場所が必要としています。ただ、どの程度深い眠りが必要かは諸説あるようで、1週間に何時間かとする人もいます。

昼だけでなく夜も放牧する競走馬の昼夜放牧も増えているようですが、一定時間は厩舎に戻すことで、安全でストレスの少ない環境での睡眠時間を与えています。


人間のレム睡眠の周期は30分、90分といった単位で生じますが、ちょくちょく起き上がっている馬は、もっと短いスパン、細切れの夢を見ているのかもしれませんね。

参考 馬博士楠瀬良の“競走馬のこころ” Vol.31競走馬総合研究所

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