競走馬の予後不良と安楽死

予後不良は、治療の見通しが思わしくないときの診断のこと。

馬はけがの部位や程度によって治療をしても回復の見込みが薄く、予後不良と判断されると安楽死の措置がとられる。

競走馬であるサラブレッドは、レース中に生じた脚部の故障で予後不良となることが多い。

馬の蹄は血液の循環を促す役割を担っており、歩くたびにわずかに変形してポンプのように血流を作り出している。馬の蹄は第二の心臓とも呼ばれるのはこれが理由。

脚部の故障によってその肢に体重をかけられなくなり、蹄がポンプの役割を十分に果たせなくなると炎症を起こし、「蹄葉炎」を発症する。また、けがをした肢をかばって反対の肢に負担がかかると、同様に炎症を起こしてしまう。

症状がひどくなると蹄の硬い部分と骨を接合している部分がずれたり、ひどいと蹄が剥がれてしまう。人間でいえば爪が剥けるような状態で、痛みを伴うばかりか回復も難しい。結果として治療そのものが痛みを引き伸ばす結果になることがある。

馬の肢のけが致命的となるケースが多いのは、一本の肢の負傷が他の肢にも影響するため。

治療が面倒だから殺処分にするというわけではない。予後不良の診断が下されると安楽死が取られることが多いが、稀にだがそうでないケースもある。なお、予後不良の馬は安楽死措置が取られるため馬肉にはならない。

馬の蹄と蹄機作用JRA競走中の予後不良データ 感覚に基づかない議論のために

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