馬って噛むの?触ると危ない?
馬に触れてみたいけれどよく分からない時に湧く疑問ですね。
答えとしては噛む馬もいれば、噛まない馬もいる、です。
噛む馬は噛みます。
日ごろ噛まない馬でも事故でガプッとやってしまうこともあるので、どんなに人懐っこい馬でも「噛まない」とは言い切きるのは難しいと思います。
一般に会員数の多い乗馬クラブや観光牧場で近づける環境にいる馬は、まず噛まないといっていいでしょう。しかしはじめて触れる時はスタッフに聞いてみてからの方が安心です。
噛む馬は扱いが難しく会員に怪我を負わせる可能性もあるため、乗馬クラブが引き取ることは多くはありません。
牧場や馬術部、あるいは個人で飼っている場合はさまざまな馬がいるので、牧場の人や飼っている人に撫でていいか聞いてみるとよいでしょう。
ネコや犬と同じだと考えれば分かりやすいです。
ひっかいたり噛む犬はいますし、うちの猫はひっかかないと思っていても、事故でひっかき傷をもらうことはありますよね。
馬が噛む四通りの意味
ある馬がなぜ噛むのかはその当馬に聞いてみないことには分かりませんが、馬には口で噛んだりくわえたりする習性があります。
馬に手があったら手で引っ張ったり優しく触れたり、逆にひっぱたいたりといった、人間にも分かりやすい行動をしていたかもしれません。
馬は口を使ってコミュニケーションを取るため、口を使ってちょっかいを掛けることが多々あります。
噛むのが癖となっているのは好ましくありませんが、じゃれているだけならよだれがつく程度で害はありません(人間に対してじゃれすぎるのは好ましくないとする考え方もある)。
人の注意を惹くために服を引っ張ったりハムハムしてじゃれるのも親愛の情の表れです。
皮膚を噛んだら痛がることは理解しているため、噛んでいいところを見分けているとも言えます。
事故
事故で指をパクっとされることはありえます。
日ごろ噛まない馬に噛まれるシチュエーションとしては事故が一番多いと思います。
人参などのスティック状のものをやる時、指でつまんだ状態で馬の口元に持っていくと、スティック+指をカプッとやられることがあります。
馬は唇を使って想像以上に強い力で食べ物を引きこみます。ニンジンの端をつまんでいても指を離すタイミングが分からず巻き込まれ、指を噛まれているのを見たことがあります。
▼ひきこまれそうなやり方
馬は唇の先を器用に動かして選り分けますが、食べるときはぱくっとやる。
慣れている人の真似をせず、餌を手のひらの上において馬の目の前に持っていくようにすればこの手の事故は防ぐことができます。
攻撃・噛む癖
馬の噛む癖を咬癖(こうへき)と言います。
体全体を動かせない状態で攻撃するには口を使うしかないため、ストレスがあったり嫌なことをされると噛むようになります。
もともと気性が荒い馬は攻撃の意図をもって噛みます。そうでない馬でも噛むことを覚えてしまうと繰り返すようになります。
小さい頃から人間と適切な関係が築けていれば、ほとんどの馬は噛まないと言われています。
馬の習性に詳しく飼育の知識のある人に長く接している馬は、馬についての知識が乏しい人と長くいる馬よりも、咬癖が少ないという観察の結果もあるそうです。
気性の問題であったり育てている人との相性もあるにせよ、噛むようになった馬は人間との関係を敵対的なものと考えているのかもしれません。
噛み癖のある馬は周囲に注意をうながすため、鬣(たてがみ)に小さな赤いリボンをつけられていることがあります。蹴りぐせのある馬なら、尻尾にリボンがつけられます。
噛まれると本気で痛い
馬の歯は成長が止まることなく伸び続けます。伸びてきた歯は咀嚼で少しずつ削られているため、歯先が平らになっています。
馬の歯は年齢を表す 贈られた馬の口の中を覗いてはいけない理由歯の先端は尖っていないため噛み切るには適していませんが、歯にかかる圧で硬いものでも簡単に砕きます。硬い人参やキューブに固めた飼葉を苦もなくゴリゴリ食べているくらいですから。
そのため馬が本気で噛んだら骨は折れ、その状態で首を動かされたら千切れることでしょう(指を食い切られたという人もいます)。
そうでなければ悪意がないと捉えていいと思いますが、馬の噛む力は強いため、本気で噛んでいなくても相当痛い思いをします。
噛まれた部分は数日間は真っ青になります。
打ち身で青あざになったというレベルではなく、歯が当たっていた部分は見事なまでに紫色になります。紫になった周辺は黄色っぽくなり、痛々しい見た目になります。
「噛むつもりがないのに噛んじゃった」を噛むうちにいれるかどうか
噛むか噛まないかは捉え方の部分があります。
咬癖がなく人に攻撃をするつもりもない馬は「噛まない馬」と言えます。
しかし事故でうっかり噛んでしまった馬は「噛む馬」なのか「噛まない馬」なのか判断に困るところです。
噛むつもりはなかった。あれは事故だった。今は反省している。
この状態の馬を「噛む」と考える人は「馬は噛むことはある」と言うでしょう。一方で事故はカウントしない立場なら「馬は噛まない」となるのでしょう。
人間でもささいな事故で他人に怪我をさせてしまうことがあります。動物ならなおさらですから、悪意がない事故は噛んだ数に入れず、「噛まない」と言っても差し支えがありませんよね。
馬に慣れていない人に対しては「噛まれるかもしれないから気をつけて」と言うけれど、感覚的には「噛まれない」。
馬は噛むか噛まないかはっきりしない理由は、こういった事情によります。