サラブレッド
- Thoroughbred -
サラブレッドは競馬での競走用に生産されている競走馬。17世紀から18世紀ごろからイギリス在来馬と東洋種(アラブ種・バルブ種・トルコマン種)と掛け合わせて作られた。
50〜70km/hのスピードで数分間走ることができる持久力とスピードをもつ。かつては4000m以上のレースが珍しくなかったため持久力も重要だったが、時代が下るにつれて距離の短いレースが主になったため、速さが重視されるようになっている。
1ハロン(200m)を平均12秒で走ると時速60kmで走っていることになる。瞬発力や機敏性ではクォーターホースが勝るが、一般的なサラブレッドのレースである1000m以上のコースでは対応しきれない。
サラブレッドの頭はほっそりしており、目の間隔は広い。首は長く、肩の傾斜は大きい。大きなストライドで低く走ることができる。
サラブレッドはレース中の骨折が目立つことから”ガラスの脚”と呼ばれるが、必ずしも脆いとは言えないという指摘がある。その一方でスピードを重視した淘汰が進み、蹄は薄く弱くなっている事実もある。ディープインパクトは蹄が薄かったため、釘を打たない方法を用いていた。
サラブレッドの起源
サラブレッドの父親の系譜(サイアーライン)を遡ると、ゴドルフィンアラビアン、バイアリーターク、ダーレーアラビアンのいずれかにたどりつく。三頭の馬は「三大始祖」と呼ばれるが、これらはサラブレッドではない。これらの馬から交配を繰り返して成立したのがサラブレッドである。
サラブレッドの始祖候補としては102頭が登録されていた。スピードとスタミナに優れた”強い馬”がより多く交配に用いられ、弱い馬はあまり子を残すことができず、血脈が途絶えてしまった。この淘汰の結果として残ったのが、ゴドルフィンアラビアン、バイアリーターク、ダーレーアラビアンの三頭の血筋だった。
三大始祖の血脈にはそれぞれ中興の祖とも言うべき馬がおり、現代のサラブレッドはすべて中興の祖に行き着く。
- ダーレーアラビアン(Darley Arabian 1703) – エクリプス (Eclipse 1764)
- バイアリーターク(Byerley Turk 1679) – ヘロド (Herod 1758)
- ゴドルフィンアラビアン(Godolphin Arabian 1724) – マッチェム (Matchem 1748)
たとえばダーレーアラビアンの系譜は、現在ではエクリプス以外に存在しない。ダーレーアラビアンの子孫はすべてエクリプスの子孫でもある。
三大始祖と言われるが、現在ではダーレーアラビアン – エクリプス 系が9割以上を占める。
サラブレッドという血統の根拠
サラブレッドの源流は”ジェネラルスタッドブック”という血統管理台帳に記載された馬にある。この台帳にある馬の淘汰によって成立したのがサラブレッドである。
Thoroughbred は「徹底した品種改良」を意味する。
Thorough(徹底的な) + Bred(breedの過去分詞:品種改良された)
馬(の品種)を表す語として thro-bred がはじめて用いられたのは1713年。”育ちのいい” ”教育程度の高い”を意味する形容詞としての用法が先んじていた。
血統の管理と他品種への影響
血統管理は厳密に行われており、基本的にサラブレッド同士の交配により生産された馬がサラブレッドと認められる。例外としてサラブレッド系種に8代連続サラブレッドを掛け合わせた場合にのみ”サラブレッドとして”認められることがある。
血の偏りを避けるため人工授精は認められておらず、牡牝の自然交配で生まれた子どもでなければサラブレッドと認めれられない。そのため他の国の馬と交配させるには、どちらかを輸送する必要がある。
牡馬は牝の状態によって発情するため、牡馬の交配は一年を通して可能である。北半球で種付け時期を終えた牡馬を、南半球に輸送して現地の牝馬と交配させるシャトル種牡馬ビジネスは、牡馬の年中発情可能な性質を利用している。
他の品種でもサラブレッドと交配させることで、スピードとスタミナを導入することが多い。短距離のスピードに秀でるクォーターホースにも大きな影響を与えている。
生産頭数と競馬
現在日本で行われている公営競馬は、サラブレッドレースとばんえい競馬のみ。
JRAの馬券売上は1999年に最高額を記録したが、サラブレッドの生産頭数はバブル崩壊の翌年1992年の10,309をピークに減少を続けていた。しかし2010年以降にJRAの馬券売上が回復したためか、生産頭数も微増している。
サラブレッドギャラリー
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