なぜ競走馬はゴール前の直線でヨレるのか 

競馬でゴール前の直線で馬が斜行(まっすぐ走らず斜めに進んでしまう)してしまい、騎手が制裁を受けているケースがままあります。

制裁を受けるのは極端なケースですが、普通に考えたらまっすぐ走らせたほうが距離的にも有利になるのに、なぜかヨレている。

なんでまっすぐ走らせない?斜行が起きる原因はなにか?…その疑問に答える記事がnetkeibaに掲載されています。

和田 まぁいろんな原因がありますよね。口向きも関係してくるし、骨格上、どうしても曲がってしまう馬もいる。もちろん、ジョッキーのバランスが悪いことが原因でヨレることもあります。体重を掛けたら掛けたほうに馬は絶対に曲がりますからね。

──馬の骨格も関係しているんですね。それは知りませんでした。

和田 人間もそうだと思うけど、体のすべての骨が正しくシンメトリーなんて馬はほとんどいない。ただ、人間はそれを自分で意識できるから真っ直ぐに走れるし、競技の場合はレーンもある。でも、馬はそうじゃない。「俺はこっちのほうが走りやすいねん!」となれば、走りやすいほうに行こうとするんです。

──そこでジョッキーが軌道修正しようとすると…。

和田 そう、どうしてもブレーキが掛かってしまう。だから、人の邪魔さえしなければ、矯正する必要はないと僕は思いますけどね。速く走らせるのがジョッキーの仕事だから、どんな状況でも絶対に真っ直ぐ走らせなアカンというわけじゃないと。

「馬がヨレるのはなぜ? 騎手が明かす意外な要因」/ 和田竜二騎手|netkeiba

ゴール前で必死に走っている馬からしたら、頑張って走る≠まっすぐ走るなのでしょう。騎手も他の馬に影響が与えない範囲のヨレであれば織り込み済みとして、走る気を削がないことを重視しているんですね。

和田騎手のインタビューでは骨格の話が続きますが、得意な手前の問題にも繋がります。

 馬はだいたい骨格で決まると僕は思ってるんですけど、ディープインパクトは、繋ぎから何から奇跡的な骨格を持っていたと聞きました。だからいつも真っ直ぐに伸びていたんでしょうね。

──なるほど。あの走りを可能にした要因のひとつは骨格だったんですね。ちなみに、オペラオーはどうだったんですか?

和田 オペラオーも、前脚は真っ直ぐやったそうです。だから真っ直ぐに走れたし、めちゃめちゃ操縦性が高かった。あそこまで自由自在に動かせる馬はなかなかいませんよ。

(同上)

馬の歩法(足運び)のうちの駈歩や襲歩(ギャロップ:競馬の走り方)は、非対称な足運びになっています。肢の動きが均質でないため「手前」があり、肢ごとに負担がかかる割合も異なります。得意な手前というのは、いわば利き手のこと。得意だからといって片方ばかりを使っていると疲れるので、競馬では随時手前を変えています。右回り左回りの得意がある馬は、「手前」の不得手が影響しているのでしょう。

手前については中央競馬制裁情報の動画が分かりやすいです。

和田騎手の話による骨格に影響を受ける話は、おそらく手前の得手不得手に影響しています。先述したように、手前が違うとそれぞれの肢にかかる負荷が異なり、馬の推進力の方向が変わります。手前と反対の後肢(反手前)が一番大きな推進力を生むので、手前の方向に進みやすいのです。

馬の手前

『優駿』2011年9月号

このため右回りならコーナーには右手前で入って、抜けたら左手前に変える。

で、必死で走っている状態で左右の手前で不得手があるなら直線でそちらにヨレるし、疲れてきたら進行方向を決める手前の前肢の使い方がおそろかになって、よれやすくなるのでしょう。ふくれるのはこの逆ですね。

手前が変わったのに手前と逆に鞭を入れてしまい、おもいっきり斜行になるのとはまた別の話です。