「馬は人間の表情を読むことができる」という記事で、「馬は人間の顔の表情を正しく理解しているっぽい」という英サセックス大の研究を紹介しました。
その続きにあたる研究結果が発表されました。
2016年に発表された前回のサセックス大の実験では、怒った顔の写真を見せられた馬は明らかに警戒行動をとりました。
危険度を測る機能が強い右脳を使うために、左目で写真をながく見つめたのです。
反対に、笑った表情の写真を見せられた時はそのような行動を取らなかった。このことから、馬は表情を読んでいるであろうと推測されています。
サセックス大にいたプループス博士がポーツマス大に移ったため、今回はサセックス大とポーツマス大の共同研究になっています。
手順はモデルの「怒った表情」と「笑った表情」の写真を見せるまでのプロセスは前回と同じ。
今回は続きがあって、写真を見せた数時間後に、写真に写っていたモデルを馬の前に登場させました。
モデルは怒りも笑いもせず、普通の表情で馬の前に現れる。その時の馬の反応を見ることで、写真の人物と当人を識別するか、さらに表情も覚えているかを調べるという手法。
クレバーハンスのようにモデルの態度から馬に影響が出ることを防ぐため、モデルには馬にどの表情の写真を見せたかは伝えられませんでした。だから馬にもモデルもノーヒント。
※クレバーハンス:計算ができると思われていた馬。蹄を鳴らして回数を示していたが、実際には会場の空気を読んで、最後の回見極めていた。
実験の結果はと言うと、怒った表情の写真のモデルが目の前に現れると、馬は驚異を見極めるために左目で長く見つめ、ストレス反応を示すなど落ち着かなくなった。
一方で笑った表情の写真のモデルが現れると、馬は右目でも見る傾向にありました。
写真の表情がリアルの人物への評価につながったということは、馬は写真に映った人間の顔と表情だけで、人物とその感情まで識別していることになります。
カラスをはじめ人間の顔を覚えている動物は珍しくはありませんが、写真だけで感情まで把握するのは「これまで他の動物では見たことがない」と、Proops博士は語っています。
著書『チンパンジーの政治学』で知られる米エモリー大学のフランス・ドゥ・ヴァール博士は「ウマ科の動物は霊長類に次いで顔の表情が豊かなことを考えれば、顔とその表情に注意を払うようになるのは理にかなっている」「人に囲まれて暮らしている馬には、私たちの表現が何を意味するのかを学ぶ機会が十分にある」と語っています。
馬は視覚で相手の顔を確認してないんじゃない?という実験結果もあるので確証とはいきませんが、馬は臭いや耳ばかりでなく、目でも人間識別している可能性はありますね。
>Horses remember if you smiled or frowned when they last saw you
馬は人間の表情を読むことができる - 喜怒によって変わる馬の反応