人を乗せたくない馬が多いという研究結果があります。みながみなというわけではありませんが、馬と言葉によるコミュニケーションができたらこんなケースが多くなるかも。
馬が背中に人を乗せることにどの程度前向きなのか。
ドイツのゲッティンゲン大学とオーストリアのウィーン獣医大学のエ科学者によって、その性向を調べた研究の結果が2012年に発表されています。
研究に用いられたのは18頭の温血種。
馬場につながるY字の通路を設置し、騎乗者の指示でYの下から侵入。左右の分岐で進んだ方向によって課される仕事量を変えて、どちらを好むかを調べました。
- 騎乗者の指示により、Yの字の下から侵入
- Yの左の枝に誘導されたら、騎乗者が降りる前にアリーナを2周
- Yの右の枝に導かれたなら、騎乗者が降りる前にアリーナを1周
上の2つのパターンを馬ごとに個別に訓練。
馬が先に待ち受けていることを理解したところで、騎乗者はY字の入り口で降ります。
そして馬には自分で左右どちらに進むかを選ばせました。
どちらも選ばない馬が多かった
その結果分かったことは、人を乗せたくない馬が多いということ。
左右の選択肢を与えられた馬がとった行動のうちで一番多かったのは、Yの通路を無視して厩舎に戻ること。
人を乗せて回らないといけないYの字に進むことは避け、まったりしたかったのでしょう。
ちなみに2周する選択をした馬は、1周を選んだ馬よりも心拍数が有意に高かったという結果も出ています。
研究者たちは「社会的な生き物としての馬は、仲間と一緒に時間を過ごす動機がある。したがって、厩舎はこの選択を馬場よりも魅力的な選択肢となる」としています。
馬はサボれるものならサボろうとするのだから当然とも思えますが、やっぱりまったりしたいようです。
乗せずにすむなら乗られない手段をとる。しかし乗せることが苦痛かそうでないかは分かりません。
Y字の先に進むと心拍数が高くなったことから、歓迎すべきことと感じていないのでしょう。
しかしそれでもY字の先へ進んだということは、人を乗せることをタスクだと思っているのかもしれません。
人を乗せる理由(誘引)がなかっただけで、ご褒美や賄賂をちらつかされたら喜んで(あるいは割には合わないけどいいかと割り切って)乗せるかもしれない。
もちろん一日中馬房から出されなかった翌日は、なんでもいいから走りたくて頑張ることはあるだろうし、好きな人なら乗せてやっていいかと考えるかもしれません。
馬が何をどう感じてその行動をとったのかは、馬に聞いてみないと分かりません。
人を乗せたくない馬が多いからといって乗馬が否定されるものでありません。
人間は馬に乗るかわりに適切な飼育を行う。馬は人を乗せることで福祉上の代償を払うが、安全な環境を手に入れる。
福祉の観点からどこまでをよしとするかを考えつつ、ともに益が得られる関係を築くのが共生です。
私は馬🐴&象🐘が好き💗です。