騎馬警官 – 海外で警備活動で馬が用いられるわけ

RCMP Sunset Ceremony 2012

欧米の首都や大都市では、街中をパトロールしたり、パレードやイベントの警備に当たっている騎馬警官を目にします。ときには騎馬警官そのものが観光資源のようになっていることも。

イギリスではロンドンのホースガーズの交代の際にも騎馬警官が警備をしており、軍を警官が守っている風情となったりもします。

騎馬警官は見栄えがよく、威圧感を与えないなど、周囲にポジティブなイメージを与えます。警官が歩いていても見向きもされませんが、同じ警官でも馬に乗っていればカメラを向ける人も多くいます。

パレードの先導などでも騎馬警官は活躍しています。

現代でも欧米の警察が馬を警備に用いるのは、こうした馬のもつイメージのよさという点だけでなく、実務上のメリットもあるそうです。

馬の背にまたがった高い視点からは遠くを見渡せることが一つ。広い範囲を目で追えるため、開けた場所での警備にも適しているようです。

もう一つは狭い路地や車両禁止の場所でも入ることができること。道路の整備されていない場所や、車両が入れない公園でも気にせず巡回できるのは大きな利点です。

巡回やパレード、イベントなどの雑踏警備に出動する印象が強い騎馬警官ですが、デモの警備にも対応しています。

騎馬警官に限らず動物を扱っていれば事故はつきもの。デモや暴動では馬に直接何かすることはなくても、驚かすようなことや、つつかれて興奮したら蹴ったり立ち上がって周囲を危険にさらさない?と思っていたのですが、どうやら大丈夫らしい。

▼歩道にいたデモの参加者や傍観者を追い払う騎馬警官(カナダ)

追い払われている人もビデオを撮るのに勤しんでいる平和な雰囲気に見えますが、これを車両でやると危険が生じるし警官がやろうとしても素直に言うことを聞かずもみ合いになりかねせん。しかし騎馬だとあっさりと。

 

▼デモ隊に突進して道路封鎖を解かせる騎馬警官(イギリス)

考えてみれば昔は騎馬で鎮圧するのも当たり前でした。同じことを車両でやると市民を危険晒したと非難轟々、法的にも問題が生じそうですが、騎馬ならそこまで批判されないし…

とはいえ、実力行使に出たらもみ合いにはなる。現代では直接手出ししないという前提の上に成り立っているので、あくまで群衆コントロールのために用いられています。

デモ・抗議が当たり前の国だからこそ、もみ合いや暴動に発展するリスクへの対処として騎馬警官は実用的なのかもしれません。

 

▼サッカーファンの暴動(イギリス)

これはデモ・抗議ではなく、純粋?な暴動。馬に手を出して速攻で取り押さえられる人も。

 

日本の騎馬警官は信任状捧呈式の馬車列警護といった儀仗、交通安全教育やパトロール、パレードの先導などを行っており、イメージアップのための広報的な色合いが強いものになっています。

ちなみに欧米では必要がなければ馬糞(ボロ)はそのままのことが多いのに対し、日本では随行者が回収しています。こういったところにも、ウン用思想そのものが違いを感じることがあります。


現代では平和なイメージの日本の騎馬警官ですが、戦前の騎馬警官(含む騎馬憲兵)は暴動の鎮圧に当たるなど、かつては荒っぽかったようです。

もっとも荒っぽかったのは警官だけではなく、市民も同様に実力行使に訴えていたので、そういう意味では有効だったのかもしれません。

現代では日本人はおとなしいと言われますが、歴史的に見ればそうでもない。左翼・学生運動を除いても、大規模な暴動は少なくありません。

  • 日比谷焼打事件(明治)米騒動
  • 米騒動(大正)
  • 電車焼き討ち(明治・大正)
  • コザ暴動(米統治時代の沖縄)

江戸時代にも一揆や打ちこわしなどが多々ありました。

ただ、募りきった不満から暴動に至っても政権そのものを否定するわけではなく、要求が通ればそれでおしまいというケースが多かったようで、ヨーロッパで生じた市民革命に至ったような暴動ではありませんでした。

日本でもっとも市民革命に近かったのはおそらく一向一揆ですが、徳川治世下ではそういった思想が一般化しない程度に要求に応えていたのでしょう。

 

騎馬警官の話から逸れましたが、現代でも警備に馬を使っている国は歴史的に多用してきた国が多く、歴史的な文脈に根ざしている部分が大きくはあります。しかし、現実問題として実用面でのメリットを見出している

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