目次
ことわざ
いましめや風刺などの、いわゆる「ことわざ」。
贈られた馬の口の中を覗くな
おくられた馬の口の中をのぞくな
もらいものにケチをつけるな/あら捜しをするな/詮索するな
馬の歯は馬齢(年齢)によって違うため、口の中を見れば馬の価値も推測できます。贈り物の価値を勘ぐることは送り主に対する不審やあら捜しにもつながるため、戒めとして用いられます。
馬の歯は年齢を表す 贈られた馬の口の中を覗いてはいけない理由英語:Don’t [never] look a gift horse in the mouth
■語源:ヨーロッパ
生き馬の目を抜く
いきうまのめをぬく
生きた馬の目を抜くほど、素早く事をするさま。馬の目を抉ろうと試みたところで素早く逃げられてしまうことから、馬よりも素早く行動するという意味に。
現代では行動や決断の早さの他に、他人を出し抜いて素早く利を得る意味もある。
生き馬の目を抉(く)じる。生き牛の目を抉(えぐ)る。
毛を以て馬を相す
けをもってうまをそうす
言葉(発言)だけで物事の価値を判断しようとするたとえ。毛並みだけを見てウマのよしあしを見きわめるの意。
元は表面上の言葉で人を評価することを戒めていたが、転じて見た目で価値を判断する事も指す。
”毛を見て馬を相す”とも
以言挙人、若以毛相馬
(言葉をもって人を判断するのは馬の毛をもって判断するようなものだ)
『塩鉄論』中国、漢代の政論
馬齢を重ねる
ばれいをかさねる
とくに何かをするわけでもなく、歳だけをとること。いたずらに年齢を重ねること。
馬齢を加える、犬馬の齢とも
なにかを成し遂げることもなく、この年齢になってしまったと卑下する言葉。他人に対しては使わない。
もとは馬歯徒像だが、おそらく犬馬の齢(けんばのよわい)が語源
「犬馬」は馬と犬の意味の他に、人間にも使われる。
犬馬「(犬や馬は人に従属することから)人に使われる者や身分の低い人を指す。また、自ら使う場合はへりくだる表現」
馬子にも衣装
まごにもいしょう
身分が低かったりみすぼらしく見える人、見かけがよくない人でも、身なりさえ整えれば見栄えがする。立派に見えるの意。
馬子にも衣裳とも
馬子は馬をひいて人や荷物を運ぶことを職業とした人。うまかた、うまおいとも。
宿場周辺の村落に人馬を供出させる夫役、「助郷」は負担が大きく、金銭代納で済まされることが多くなった。駅に必要な人員が不足した穴埋めとして、浮浪者や無宿人が充てられることが増えた。当然ながらみすぼらしい身なりのものが多かったことから、馬子はみすぼらしい格好を意味するようになった。
英語:Clothes make the man(身なりでその人が分かる)
同義語:猿にも衣装
馬子に褞袍
まごにどてら(わんぼう・おんぽう)
馬子には粗末な衣服がお似合いだ。分相応であることを指す。
馬子にも衣装と同様に、馬子はみすぼらしい身なりをしていたことから。
犬馬の年
けんばのとし
犬や馬のようにむだに年をとること。自分の年齢をへりくだっていう。
犬馬の齢 (よわい) とも
犬馬之歯
おそらく馬齢を重ねるの語源。
「犬馬」は馬と犬の意味の他に、人間にも使われる。
犬馬「(犬や馬は人に従属することから)人に使われる者や身分の低い人を指す。また、自ら使う場合はへりくだる表現」
■曹植『黄初六年令』
犬馬の労
けんばのろう
目上の人や他人のためにつくすこと。へりくだった表現なので他人には用いない。
「犬馬」は馬と犬の意味の他に、人間にも使われる。
犬馬「(犬や馬は人に従属することから)人に使われる者や身分の低い人を指す。また、自ら使う場合はへりくだる表現」
故事成語
故事が元になった熟語のみを集めています。漢字のみ、または漢字と送り仮名のみのものを熟語として扱っています。
馬耳東風(ばじとうふう)
人の意見や批評に耳を傾けず聞き流すこと。また、反省しない様。
東風は春風の意。暖かい春風が吹けば人は喜ぶが、馬の耳に春風が当たっても馬は何も感じないであろうこと。
「世人此これを聞きて皆頭こうべを掉ふる、東風の馬耳を射るがごとき有り」
人はこれを聞くと皆頭をふって聞き入れない。まさに春風が馬の耳に吹きつけるようなものだ
■李白『答王十二寒夜独酌有懐詩』
慣用句・成語
故事成語以外の成語と慣用句を集めています。
人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)
人間生きていればいろいろ起こるが、それが幸か不幸か、どちらに転がるかは分からない。先のことは予想できない。
「塞翁が馬」と略すことが多い。
人間は「じんかん」とも。中国語で世間の意。
同義語:禍福は糾える縄の如し
英語:Whatever will be, will be.(なるようにしかならない)
Every cloud has a silver lining. (悪いことがあればいいこともある)
■『准南子(えなんじ)』人間訓
天高く馬肥ゆる秋(てんたかくうまこゆるあき)
爽やかで過ごしやすい季節を表す。
秋高く馬肥ゆとも
空は澄み渡り、馬が食欲を増して肥え逞しくなる秋を表現。夏に弱くガレ(バテて痩せる)やすい馬も、秋になれば食欲も出て毛並みが良くなることから。
もとは北方騎馬民族の略奪への警戒を促していた。収穫の季節と馬が元気になる季節が重なるため。
雲淨妖星落 秋深塞馬肥
雲浄くして妖星落ち 秋高くして塞馬肥ゆ
杜審言『贈蘇味道』
匈奴至秋 馬肥弓勁
匈奴秋に至れば、馬肥え弓勁く、即ち塞に入る
漢書『匈奴伝』
到秋馬肥 變必起矣
秋に到ば馬肥ゆ、変必ず起こらん。
漢書『趙充国伝』
参照:Web漢文大系
馬を水辺につれていくことはできても、水を飲ませることはできない
なにかをさせようとしても、本人にやる気がなければどうしようもない
イギリスのことわざ。馬に水を与えても、馬自身が飲みたくなければ飲まないことから。「何かをさせることは簡単だが、無理やり何かをさせることはできない」といった意味。
英語
You can lead a horse to water, but you can’t make him drink
千軍万馬(せんぐんばんば)
1.大きな軍隊そのもの。
2.多くの戦いを経験していること。転じて経験豊富である人のこと。
千と万は数が多いことを、軍は兵卒、馬は軍馬を意味する。
老獪(ろうかい)、百戦錬磨(ひゃくせんれんま)