典型的な農耕・木の切り出しをする馬の動画を紹介した「馬は農業や林業でどう用いられていたのか」の続編です。
今回は街なかで働いていた消防馬、はしけ曳き、軍馬の紹介です。
「ばんえい競馬」で用いられる「ばんえい馬」(輓系種)とは一致しないこともあります。
消防馬
消防車をひく馬たち。蒸気機関の放水ポンプを積んだ車をひいて町中を走っています。
47秒からの出動シーンは今と変わらないスムーズさです。
はしけを牽く馬
運河や水路で貨物を輸送するために用いられた「ハシケ(艀)」には動力がありませんでした。ハシケは物を載せて浮かぶだけの機能しかない小舟で自力では身動きができない。そのため外部から引っ張ってもらう必要があります。
現代ではタグボートで押したり引いたりしていますが、かつては馬が川沿いの岸に設置された曳舟道から、長いロープごしに引っ張っていました。
世界最長寿馬で62歳まで生きたオールドビリーもこの仕事をしていたとされています。
ヨーロッパの水路や運河沿いの小道は、かつては馬がハシケをひいて歩くために利用されていました。産業革命以降に機械化が進むと曳舟道にはレールが敷かれて機関車に置き換わり、馬は姿を消していきました。
現代ではモータリゼーションにより水路での輸送は廃れましたが、川沿いの陸地から「船をひく」ことは現代でも行われています。
↑パナマ運河で引っ張られる貨物船
軍用馬(イギリス)
イギリス騎馬砲兵パフォーマンス
少々毛色は異なりますが、軍用馬も重いものを引くという点では変わりません。
砲兵部隊は機械化され、現代では自走砲などに置き換わっていますが、イギリスには現代でも昔ながらの騎馬砲兵部隊があり、パフォーマンスを行っています。
砲兵は鉄の塊である重い砲門を運搬するため、移動時には馬で引かせていました。大砲を引かせる馬に騎乗して、一緒に戦場を駆け巡っていたのが騎馬砲兵です。
この機動力を目にすると、日本が日露戦争を前に馬の大型化(馬匹改良)に必死で取り組んだのもしごく当然に思えます。
馬は農業や林業でどう用いられていたのか – 輓馬(ばんば)の仕事ぶりを動画で見る