このページでは、馬の年齢が人間の何歳くらいにあたるかを、馬のライフステージごとに対比させて紹介します。馬と人間の年齢の対応は「馬のきもち(エクイネット)」を参照しているため、馬の年齢対応表とは若干数値が異なります。
競馬に出走する競走馬は、早ければ2歳の春ごろからデビューします。サラブレッドの競走馬としての能力のピークは4歳秋と言われており、勝ち上がった馬はJRAではだいたい5~6歳まで走って引退します。
競走馬としてのピークは4歳秋ですが、サラブレッドもそうでない馬も、骨格が固まるのは5~6歳。身体的な成熟は競走馬としてのピークよりも後に訪れます。馬の最盛期は馬齢にして6歳~15歳くらいまで。馬術競技の馬のピークは10歳を超えてからと、競馬とはちょっと異なります。
目次
誕生~4ヶ月 哺乳期
人間の2歳くらい 好奇心旺盛で遊び盛り
生まれた時の体重は成体の10%程度。生まれて30分~1時間ほどすると自力で立ち上がり、母乳を飲みます。24時間ほどで走り回れるようになります。肢の長さは成体の90%あるのでひょろっとしています。
この時期は母親との繋がりを必要とします。
4ヶ月~6ヶ月 離乳期
人間の4~5歳 母親と離れ、独力で生きるようになる
生後6ヶ月には体重は成体の50%に達します。自然状態では母馬と1年ほど行動を共にするため、母馬との結びつきはまだ強い時期。
しかしこの頃になると母乳が必要なくなることや、精神面でも成長しているため、4ヶ月~半年ほどで母親と引き離されます。
母馬と引き離された仔馬は同じ年齢の馬と放牧され、集団の中での立ち位置を見つけるなど社会性を身につけます。新たな環境に自分で適応する必要に迫られます。
1歳 馴致(ブレーキング)
人間の8~16歳 社会性を身に着け馴致が行われる
馬齢1歳になると、自らの身体能力を試すために落ち着きがなかったり、集団行動のなかでの立ち位置を見定めるようになります。また求愛の初期行動もみられます。
この頃から馴致(ブレーキング)が始まります。騎乗馴致では頭絡や鞍に慣れさせ、人を乗せることを教え込みます。
そして育成牧場に移され調教が始まります。骨はまだ固まっていないため、慎重に負荷をかけていきます。
18ヶ月くらいで繁殖が可能となります。
2歳 調教・デビュー
人間の16~18歳
2歳になると、サラブレッドは競走馬として競馬デビューをします。地方競馬では春から、JRAでは6月ごろから2歳馬のレースが組まれているので、成長度と能力適性からデビューしていきます。
体重は成体の9割程度、体高はほぼ成体の高さになりますが、まだ骨も固まりきっていない若駒です。
番組体系も距離が短いレースが編成されています。
3歳 競走馬としての本番
人間の18~21歳 クラシックレース
馬体はほぼ成体と同じサイズとなり、精神面でも落ち着き始めます。精神面でも身体能力でも個体差が大きい時期でもあります。
サラブレッドの3歳は、競走馬としての晴れ舞台。ダービーやオークスをはじめとするクラシックレースや、多くの3歳限定のレースが組まれています。3歳秋になると、4歳以上の古馬と同じレースに走るようになり、競走馬としても本格化します。
3歳秋~冬の3歳以上のレースで3歳牝馬が勝つと、古馬であるお兄様、お姉様方をJKかJDがノシたという構図になります。
4歳 古馬:大人の競走馬
人間の21~23歳
4歳は成熟の年。競走馬としては大人の馬と見なされ、古馬と呼ばれます。多くの馬は4歳秋に競走馬としてのピークを迎えます。
もっとも充実する時期と言えます。ただ、JRAではレース体系の見直しにより、古馬になる前に引退する馬が増えると予想されています。
競技馬では、秋~5歳ごろになってから本格的な調教が始まります。
5~6歳 身体的に大人の馬となる
人間の23~30歳
骨が固まり歯も生え揃い、身体的に大人(成体)となります。
英語では年齢によって区別しており、5歳以上の牡馬はホース、牝馬はメアと呼ばれ、5未満の馬はコルトやフィリー、イヤリングなど、別の呼び方をされます。
2歳~5歳までが成熟期、6歳からは中年期と言えます。
イギリスでクラシックレースが始まる前は、競馬といえばもっぱら5歳以上の馬で行われていました。現代の競走馬としてのピークは過ぎ去るため、勝ち上がった馬も引退が目につくようになります。
「馬」としては6歳は身体面でも精神面でも成熟し、馬齢12歳~15歳くらいまで最盛期が続きます。
馬術競技ではこのくらいからが調教の本番となります。
10歳 中年期
人間の36歳 馬としての最盛期
平地競走のサラブレッドとしてはベテランになりますが、勝ちは難しい年齢になります。障害レースでは勝負になる馬も。イギリスの過酷さで有名な名物障害レース『グランドナショナル』では、8歳、9歳の馬の勝鞍が多くなっています。
しかし長い期間の調教が必要な馬術競技ではここからがピーク。馬場馬術・総合馬術では8歳、障害馬術では9歳以上という制限があるため、強い馬にとってはこのくらいの年齢からが本番となります。
12歳~15歳くらいまでが最盛期となります
15歳~20歳 中年期
人間の48~61歳 ピークを過ぎ、衰えが見え始める
個体差があるため、馬によっては馬齢12歳(人間で40歳)くらいから中年期になります。16歳を超えると繁殖でも高齢になるため、受胎率が落ち始めます。
馬術競技の馬もこの期間で引退します。
この頃になると人間と同じく頑固になる馬も出てきます。
馬齢20歳ともなると老化に見舞われます。牝馬では発情が終り、歯の伸びが止まったりといったことが見られます。骨がもろくなり視力の低下が見られるなど、身体面での衰えが顕著になります。
20歳~30歳 高齢期
人間の61~86歳 平均寿命は25歳
平均寿命の25歳をすぎると、歯が抜けたり、視力の低下が進みます。背骨が浮き出たり、皮膚が乾くなどの身体的な衰えが顕著になります。
代謝が落ち、栄養の吸収も悪くなるため、餌の面でのケアも必要になります。寒暖の差にも影響を受けやすいため、世話をしている人は細やかな対応をしています
30歳~ 老齢期
人間の86歳~ 御老体
30歳を超えると視力はさらに落ち、目が曇ることもある。関節が緩むものの、人を乗せて歩く馬もいます。
馬齢35を超える馬は稀ですが、大事にされて生きている馬も数頭います。ここまで生きられれば長寿記録のトップ10に入ります。
馬齢ごとにみたライフステージ
馬の平均寿命はおよそ25歳。競走馬としてのサラブレッドは4歳がピーク。成熟してからも地方競馬で長く走る馬もいますが、それでも15歳まで走る馬は極稀です。つまり競走馬引退後の馬生は極めて長いものとなります。
競馬ほどきつくない乗馬馬としてなら引退後も働けるため、再調教がなされて乗馬馬になる元競走馬もいます。再調教や高齢馬の支援をしている団体もあるので、引退後の馬の行方に関わりたいと思う方はこちらをご覧ください。
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