馬は農業や林業でどう用いられていたのか – 輓馬(ばんば)の仕事ぶりを動画で見る

現代も輓馬(農耕馬)として働く馬たち

農業も林業も現在では機械化されており、日本で実際に農耕馬が農耕をしている姿を目にすることはほとんどありません。

現代の日本でも山からの木の切り出しに馬を用いる『馬搬』を行っていたり、農業体験的に農耕を再現されることもありますが、そう多くもありませんよね。

「人間と馬との関わりは長く、産業革命までは農耕に運搬にと、馬は労働力として重宝されていた」と言われます。しかし実際にどう用いられていたのかは想像だけでは分かりにくい。

そこで、実際に馬が使役家畜として働いている動画を探してきました。

注記
農耕馬と輓馬(ばんば:荷車や馬車を引く馬)を分けて表記されることもありますが、農耕に用いられる際も農耕具(唐犂:からすき、馬鍬:まぐわなど)や荷車を曳かせていたことから、農耕に利用されることが多かった馬も輓馬としています。

「ばんえい競馬」で用いられる「ばんえい馬」(輓系種)とは一致しません。

田んぼでの農耕作業

 

田んぼの代かきの実演

馬鍬(まぐわ)による代掻き。水を入れてから、土のきめを細かくするために代を掻く作業です。木曽馬が用いられています。

 

乾田馬耕・60年ぶりに馬で代かき

庄内映画村と遊佐町の庄内農耕文化保存会、遊佐小学校と連携して【乾田馬耕】を復活。この映像は馬耕の次の段階「代掻き」です。来年に向け練習中。マンガ(馬鍬)とゴロ(除草機)です。会場は庄内映画村オープンセットの「おしん生家」前。

 

馬耕の様子(田起こし)

宮城県東松島市野蒜地区 森の学校~田んぼの教室プログラム

唐鋤(からすき)による田起こし。角度がないと浅い部分しか起こせないので、おさえる側も大変。

 

山の木出し

馬搬・地駄引き

【探訪】地駄引き馬  伝統守る絆 – 産経新聞

宮城県内に伝わる「地駄引馬(じだひきうま)」による、昔ながらの林業風景。馬具(がら[柄]:直接皮膚に力がかからないよう防護する馬具)の取り付けから映っているので、引っ張るときに力がかかる部分が分かります。

 

Horse Logging in Japan 2 【馬搬 in 遠野市 2】

競走馬だけでなく、乗用馬の生産にも取り組む遠野市の馬搬風景

岩間敬 / 遠野馬搬振興会事務局長 馬搬文化の継承・発展に取り組む[前編] | WAVE+

 

その他馬の仕事

木の株を掘り出す

抜根機を使った馬の力を利用した木の根を掘り出し。開墾・開拓がいかに大変であったことか。

今でも大変でしょうけれど。

収穫物堀り起こし(海外)

輓馬によるポテトハーベスタ引き。コストやパワーは比べるまでもありませんが、これを見ると、機械化は動力がエンジンに変わっただけなんだと実感します。

鉱山で働く馬(Pit Pony)

鉱山では採掘した資源を運び出すために多くの馬が働いていました。

地上から直接入れる広いフロアでは大型馬も利用されました。大型馬は力が強い反面、地下深くへは入れない。そのためウインチで降ろせるサイズの小型馬であるポニーが用いられました。

蒸気機関を発明したジェームズ・ワットは、鉱山で働くポニーの労働力から「馬力」を定義しています。

 

人間と馬と自然と

今となっては馬を農耕に用いるのは、こと田んぼが多い日本では現実的ではありませんが、山間部の林業では現在でも活躍しているんですね。

道を通して重機を入れられない場所や、そこまでコストをかけられない場所では、日本でも馬を利用するメリットはあるようです(エコロジー、再生可能な環境づくりという観点のケースもある)。

木材の切り出しに新たに馬搬を活用しようとする人もいます。

引退した競走馬がつくる里山の未来

「ばんえい競馬」を引退した「ばんえい馬」の第二の馬生を生きる場所としては理想なのかもしれませんね。

 

輓馬(ばんば)の仕事ぶりを動画で見る2 消防・はしけ曳き・軍馬

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