馬券と税金 ギャンブルの配当は一時所得

公営競技の払い戻し金は、賭けられた金額を当たった人で分配するパリミュチュエル方式により決まります。

賭けられた金額がそのまま分配されれば、当てた人と外れた人でプラスマイナスゼロになるのですが、実際には賭けられた総額から20%~30%が差し引かれています。差し引かれる20%~30%を控除率といい、そのうちの10%は国庫に納められ、残りの10%~20%で競技主催者の運営費や賞金がまかなわれます。

10%~20%が使い切れずに余ったら、それもまた国庫に納められます。結果として馬券や舟券のうち10%+αが、いわば税金として徴収されているわけです。

 

馬券を楽しんでいる人は、馬券を購入した時点で税金を払っているわけですが、これでは終わらない。馬券を当てて手に入った配当金にも税金がかかります。

これは一定額(50万円)未満なら申告不要ですが、それ以上になると申告が義務となります。義務を怠ると脱税(申告漏れ)となって、高い利率の延滞税がかかり、悪質と判断されれば加算税など非常に重いペナルティを課されることもあります。

馬券裁判で有名な卍さんやWin5で億単位で当てた人が、重い税を課せられたことはメディアでも報じられています。

ギャンブルの配当は一時所得

競馬に限らず、競艇、オートレース、競輪などのギャンブルは原則として一時所得となります。一時所得の課税対象は下の式で求められます。

一時所得={(払戻金ー経費)ー特別控除額(最大50万円)}÷ 2

 

一時所得がプラスでなければ申告は不要

ギャンブルでは経費に認められる範囲が狭く、経費となるのは払い戻しを受けた(配当の対象となった)組み合わせの購入費のみです。同一レースで60通りの馬券を100円ずつ買っていた場合は100円だけが経費となり、59通り・5900円分のハズレ馬券は経費となりません。

当たり馬券を獲得するために費やしたハズレ馬券が経費とならないため、ギャンブルへの課税はいびつなものとなっています。

最終的に2で割っていることからも分かるように、一時所得は一般には優遇されていると言えるのですが、経費の範囲が狭いために、実際に課税されると大変に困るケースが生じてしまうのです。

一時所得内での内部通算はできるので、その他の一時所得と相殺は理屈上はできます。

ギャンブルの払戻金が雑収入に認められるのは例外

所得区分が雑収入であればハズレ馬券の購入費も経費として認められます。ただし雑収入と認められるのは例外で、機械的に購入するなど馬券購入が自動化されている必要があります(自分で一定のルールに基づかず「予想・購入」したら雑所得にならない)。

払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。
具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。

 

参考:所得税率

所得税の速算表
課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

 

ギャンブルの配当への徴税がおかしいと言われる理由

先に書いたように、当たった(払い戻しを受けた)組み合わせのみが経費として認められます。同一レースであっても、外れた馬券の購入費は経費としては扱われません。

例えばこんな例を考えてみます。

  • 一年間で100万円を馬券の購入に費やした
  • 一年間で100万円払い戻しを受けた
  • 払い戻しを受けた馬券の購入費は10万円だった

回収率は100%。収支はトントンという状態。

これを先の式に当てはめて計算すると

(100万ー10万)÷ 2=45万

45万円が課税対象の所得となります。

45万円を足す前も後も所得が330万円~695万円であれば、45万円の20%が所得税として課税されます(総合課税なので、税率が変わる場合は控除額も変わるため別計算になる)。さらに地方税が10%として、45万円の30%=13万5千円が税金となります。

回収率100%でラッキーと思っていたら、10万円以上が税金として持っていかれてしまうことに。

払い戻し100万円で150万円を馬券購入に使い、経費も同じく10万円だとすると、50万円の負けの上に13万5千円マイナスとなります。

10%以上が天引きされている上に、トータルで負けても税金を取られる。普通に考えればおかしいですよね。

一時所得の対象とは?

  1. 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
  2. 競馬や競輪の払戻金
  3. 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
  4. 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
  5. 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

競馬や競輪と書かれていますが、オートレースやボートレース、そしてパチンコも一時所得に当たります。それほど高額にはなりませんが、ふるさと納税の返礼品も時価評価で一時所得に繰り入れられます。

 

申告しなくてもバレないか

バレるかバレないか以前の問題として、経費を除いて受け取った額がが50万円を超えたのに申告しなければ申告漏れになります。

という前提として、現物の「馬券」を買ったり、ペーパーレス投票のUmacaを利用していれば税務署は把握しようがありません。Umaca の履歴を見られれば一目瞭然ですが、わざわざ見せる人はいませんから。

問題はネット投票(IPAT)。アカウントに履歴が残るため、銀行口座の金の動きが大きいと目をつけられ、ネット投票の履歴を辿られてしまいます。1億が当たってしまった!なんてことがあれば、その前の3年~7年分がのしかかる可能性すら生じます。

ネット投票はリスクありです。

 

これは個人的な感想ですが、税務署も本気で徴収できるとは思っていないんだろうという印象です。払戻金を受け取ったときに記入するためのエクセルファイルも用意されていますが、基本無理筋。額が大きなケースだけ対応するという方針なのでしょう。