地球温暖化 地球規模の気温変動は現代特有の事象であることが判明 さてどうするか

ここ数年で世界各地で熱波に襲われる頻度が増えています。昨年の日本はひどかったし、インドヨーロッパも猛烈な暑さに襲われました。

今年の日本は涼しいので他人事感はありますが、ヨーロッパでは6月と7月に熱波に襲われ、40℃を超える地域も出ています。

熱波との闘い 記録的だった6月のヨーロッパ:朝日新聞GLOBE+

「高緯度で涼しい。クーラーは必要ない」と言われていた時代はどこへやら。

短期的な変動を地球の温暖化に結び付けるのは早計ですが、まあ普通に暑くなってるよね、というのが素直な感想です。

海面上昇は今世紀中に何十センチという単位なので「喫緊」の課題ではないし、気温上昇も波はある。

日本での一番の問題は気温上昇に伴う水蒸気の増加により、豪雨が増えることが予想されること。豪雨はいつの時代もありますが、問題は頻度が上がること。

温暖化は簡単に言ってしまえば地球全体の気温が上昇すること。

問題はそれに伴う雨量の変化が深刻な問題をひき起こす可能性があるのです。あるところで多く雨が降ると、他のところで雨量が減るといった問題が生じる。つまり干ばつや洪水の頻度が増すのです。日本では干ばつはないにしても、取水制限の地域が増えることでしょう。

そしてさらに大規模な気候変動が引き起こされる可能性もあるのです。

温暖化そのものや二酸化炭素犯人説への懐疑論も多々あります。「温暖化は嘘」や「温暖化不都合な真実」などの説も珍しくない。

温暖化そのものは実験ができず仮説に留まるため、懐疑論にもそれなりに説得力はあります。

とはいえシミュレーションでは温暖化の寄与が大きいという結果も出ており、多くの学者や研究者は温暖化が進んでいると認識しています。

たとえば温暖化ではなく太陽活動の低下により寒冷化するのではないか、という説があります。これは温暖化の前では打ち消される程度のもののようです。少々古いですが、こちらの話が参考になる。

太陽活動がこのまま弱まり続けるかどうかについては太陽物理の専門家でも予測が難しいと聞くが、ここではマウンダー極小期並みの不活発期が今世紀中に来るかもしれないことを前提に話を進めよう。その影響の大きさはいかほどだろうか。

木の年輪等を用いた北半球の過去の気温変動の復元研究(それはいわゆる「ホッケースティック」だから信じないという方は、こちらを)によれば、マウンダー極小期前後の「小氷期」の気温低下は1℃未満である。テムズ川の周辺では自然変動等の別の要因も重なってもっと寒かったかもしれないが、北半球平均ではこの程度ということだ。しかも、このすべてが太陽活動の効果でなく、火山噴火も寒冷化要因として効いていたと考えられる。

マウンダー極小期の寒冷化効果は0.1~0.3℃という研究もあるが、仮に最大限大きく見積もって、小氷期の1℃の寒冷化がすべて太陽活動のせいだったとしても、温室効果ガスの増加により今世紀中に予想される世界平均気温上昇(2℃~4℃程度)より小さい。つまり、太陽活動の弱まりが温暖化を一部打ち消すことはあっても、すべて打ち消して正味で寒冷化をもたらすとは考えにくい。

それでも寒冷化が正しいと思っている方へ 世界でも撤退が目立つ温暖化科学への懐疑論(江守正多) – 個人 – Yahoo!ニュース

マウンダー極小期というのは、1645年から1715年の太陽黒点数が減少した時期のこと。気温が下がり作物が低生産に陥り、ロンドンのテムズ川が凍ったといったエピソードがあります。

太陽活動が低下すれば気温も下がるのはうなずけるのですが、気温の極端な変動は一部の地域であったらしい。そんな研究結果が24日に発表されました。

【7月25日 AFP】20世紀後半ほどの急速な気温上昇は過去2000年さかのぼっても前例がないとする3本の研究論文が24日、英科学誌ネイチャー(Nature)などで発表された。研究に携わった専門家らは研究結果について、地球温暖化は人為的要因によるものという考えを否定する意見に真っ向から反論するものだとしている。

20世紀後半ほどの急速な温暖化、過去2000年前例なし 研究:AFPBB News

「球温暖化は人為的要因によるものという考えを否定する意見に真っ向から反論するものだ」は分かりにくいですが、この研究結果は温暖化懐疑論への反論となっているという意味です。

  • 局所的な気温の変化はこれまでにもあったが、極端な変動は主に火山活動によるものであった
  • 少なくともここ2000年間は地球全体での気温の変動は限定的で、大きな変化は局所的なものであった

今回の研究ではこんなことが分かったのです。現在の地球規模での気温の変動は、産業革命以降に特有の現象であることの裏付けになるということ。

つまり江守さんの文章にあるように、小氷期の寒冷化は最大でも1度、実際には世界全体では0.1~0.3℃というのは妥当なのかもしれないという可能性が示唆されます。

温暖化、やばいよねという事実が積み上げられているというお話です。


なぜこの話を書いているかというと、食と環境に関わるからです。動物になじみのある人は、食の安全についてわりと気にしますよね。

温室効果ガスは複数あって、メタンは二酸化炭素の25倍の温室効果があります。このメタン、温室効果に16%の寄与しているというデータもあります。

CO2二酸化炭素1
CH4メタン25
N2O一酸化二窒素298
HFCsハイドロフルオロカーボン類1430
PFCsパーフルオロカーボン類7390
SF6六フッ化硫黄22800
NF3三フッ化窒素17200

1-2 温室効果ガスの特徴 – JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

 

牛は、おならや反芻に伴ってメタンを吐き出しています。この量が多いため、温暖化を遅らせるには牛を食べないほうがいいのではないかという考えがあります。

メタンを減らす飼料の開発が進められていますし、実際にはもっと環境負荷は小さいというデータもあるのでそこまで神経質になる必要はありません。しかし牛肉の消費を減らすのは選択肢の一つです。

地産地消も環境負荷の面では好ましくないことも知られています。

Do food miles really matter? | Sustainability at Harvard

農作物は小売り店から家まで運ぶためのエネルギー消費が一番比重が高くなります。生産地から小売りまでは大きな単位で運ぶため、輸送コストは小さい。

また、その植物や家畜の育成に適した地域で育てれば、(相対的に)低コストで生産が行えます。逆に育成に適していない環境では、暖房や冷却や、相応の施設が必要になるため、エネルギーが余分に必要になる。

その結果、その農作物や動物の生産性の高いところで育ったものを長距離運搬するほうが環境負荷が小さいということが生じるのです。

もちろんモノにもよるので一概には言えません。

しかし地産地消は地域の人にとってメリットがある反面、環境負荷が高いケースがあることも事実です。

すでに気温の上昇に向けて農作物の選定などは行われていますが、個人としてはどうするかねーというところです。