公営競技・パチンコ・宝くじ・カジノの監督省庁 問い合わせ先一覧と関連法規

公営競技、パチンコ・パチスロ、宝くじ、スポーツ振興くじ(toto)の監督省庁と施行者の一覧。問い合わせ窓口は、担当課へのリンク先に記載されている。一部の関連法へもリンクしている。

分類名称監督官庁部署施行者関連法規
公営競技
(投票)
競馬農林水産省生産局畜産部競馬監督課日本中央競馬会競馬法
日本中央競馬会法
自治体
施行者団体:NAR
競馬法
競艇国土交通省海事局総務課自治体
実施者:日本モーターボート競走会
モーターボート競走法
競輪経済産業省製造産業局 車両室自治体
実施者:JKA
自転車競技法
オートレース小型自動車競走法
遊戯
(メダル・玉)
パチンコ警察庁生活安全局保安課
(窓口は警察)
各事業者俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
富くじ
(くじ・投票)
宝くじ総務省自治財政局自治体
委託:みずほ銀行
地方財政法第32条
当せん金付証票法
スポーツ振興投票 toto
(スポーツ振興くじ)
文部科学省スポーツ・青少年局
企画・体育課
日本スポーツ振興センタースポーツ振興投票の実施等に関する法律
カジノカジノ内閣府・外局カジノ管理委員会実施業者
〔未定〕
特定複合観光施設区域整備法

施行者と実施団体が異なるケースや賭博と富くじについての違いは、下の目次から確認してください。

施行者と実施団体

公営競技やくじの発行を行う自治体は、実質的な業務を民間に委託することがある。

総務省所管の宝くじの発売主体は自治体(都道府県及び指定都市67団体、2020年2月現在)だが、実質的な業務は受託銀行が行う。現在はみずほ銀行のみが業務を請け負っており、みずほ銀行がさらに個別の業務を他に委託する形になっている。

公営競技の施行主体は自治体ではあるものの、開催も含めた運営を民間に任せているケースが多い。委託事業により得られた収益から、自治体の取り分が設定されている。業務の委託先は、投票券の払い戻しシステムの会社やネット関連企業が多く、ネット経由でのレース配信や投票券販売を重視することもあって、年々売上が伸びている。

賭博と宝くじに関わる法令と判例

ギャンブルへの参加・実施と宝くじの発行については、刑法で規定されている。賭博と富くじの発行は本来は刑法で禁じられているが、個別の法律で合法化されている(違法性の阻却)。

刑法

第二十三章 賭博及び富くじに関する罪
(賭博)
第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(富くじ発売等)
第百八十七条 富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2 富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。

賭博となる要件

賭博とはなにか。

一般的なギャンブルの定義を調べると、偶然性がある勝敗の結果に金品をかけることとなっている。

裏を返すと、偶然性がなければギャンブルにはあたらないことになる。考えてみれば、偶然性が介在しなければ結果は一意に決まるのだから賭けにならない。

ならば技量の高さで偶然性を減らすことができれば、その行為がギャンブルではなくなるのかというとそうはいかない。

少しでも偶然性があり、不確定要素を完全に否定しきれない限りは賭博ということになる。

博戯当事者の技量に於いて優劣の差等ありとするも苟(いやしく)も其(その)博戯にして一に技量の優劣のみに因り勝敗の自らを定まるものに非ざる限りは偶然の輸贏(ゆえい)に関して博戯を為したるものと言うを妨げず

(大判明治44年11月13日、大審院判決録1884p大審院刑事判決抄録. 第41巻-第50巻5390p)(旧字体は新字体にしたうえで、現代仮名遣いに変更)

富くじと賭博の違い

賭博罪との区別は、Wikipediaに記載されている大審院判決の3点が一般的なようだ。

  1. 抽選により勝負を決めるか否か
  2. 財物の所有権を提供と同時に失うか否か
  3. 当事者双方が危険を負担しないか否か

通説的見解で強調されているのは、販売者が財産的危険を負担しないものが富くじであるということである。

判例を読んでもよく分からないが、そういうことが書かれているらしい。

富籤の意義――富籤罪の構成要件――賭博と富籤との区別

一、富籤とは財物を醵集(きょしゅう)し抽籤の方法に依り当籤者に利益を与ふるの行為を言うものとす

二、当選者に於て利益を受くるも之と同時に当籤せざる者に於て其醵出(きょしゅつ)したる財物を喪失することなくんば富籤罪を構成するものにあらず

三、富籤罪構成の一要件たる未当籤者の醵出(きょしゅつ)したる財物の喪失なるものは現実拠出したる財物の全部又は一部の喪失を言ふものにして単に其拠出したる財物の利息を得ること能はざりし如き場合を包含するものに非ず

四、賭博と富籤との異なる所は一は抽籤の方法を用いざるも他は此方法に依り一は賭者は其勝敗の決するまで提供したる財物の所有権を失うものに非ざるも他は其拠集したる財物は直に富籤発売者に於て之を取得すべく一は賭博に干与する胴元と賭者との二者共に危険の負担に任するものなるに他に在りては富籤発売者は其賭したる財物を損失するの危険存することなし

大判大正3年7月28日刑録20輯1548頁、大審院刑事判決抄録. 第56巻-第60巻p7393

(旧字体は新字体にしたうえで、現代仮名遣いに変更)

リスク負担の有無が賭博であるならば、主催者が腹を痛めない公営競技は「賭博」にあたるのか?

 

ギャンブルと富くじ、省庁ごとの認識の違い

宝くじと公営競技は、刑法上の富くじと賭博による違法性を阻却することで合法的に運営されている。

それぞれの法律は国会での審議を経て合法化されており、くじや投票券の発行は法の枠内で行われている。

法律の枠内という認識でいるためか、それぞれの監督省庁は、賭博とくじの違いについて明確な定義を持ってはいないようだ。

たとえばスポーツ振興くじ”toto”、正式にはスポーツ振興投票は競馬や競艇と同じく自分で選択する投票ではあるが、くじであって賭博とは考えていないとのこと。

投票時期と結果が出るまでの期間を長く設定し、当たる確率を低くすることで、賭博色(射幸性)を下げているという。納得できる説明ではある。

となると、その場で結果のわかるスクラッチくじはどうなのか。LOTOは期間が短く、当たる率も高い。すると宝くじも賭博性が高いということになるだろう。

ならば宝くじも、ものによっては賭博色が強いことになるはずだが、なぜか街中にあっても問題視されていない。

くじ・投票券の発行が刑法上の賭博(ギャンブル)に当たるか富くじにあたるかについて問い合わせても、それぞれに異なる答えが返ってくる。所管する官庁によって認識が異なるという印象だ。

現段階でギャンブル「等」依存相談窓口を設置していない「くじ」でも、調査で依存が疑われる人数が多いという結果が出たら対策は必要になるだろうとのこと(ただの問い合わせへの返答なので、これが公式な見解かは分からない。しかしそういう認識ではあるようだ)。

 

カジノ管理委員会‬

カジノ管理委員会(かじのかんりいいんかい、JCRC:Japan Casino Regulatory Commission)は、IR法により設置されるカジノの監視・監督機関。内閣府の外局として設置された行政委員会である。

委員長と4人の委員で構成される。委員長・委員いずれも衆参両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命。委員のうち2名は非常勤。任期は5年。

IR法(特定複合観光施設区域整備法)に基づいて設置された。所管の官庁がないという点で、他の賭博・くじとは異なっている。