一口に馬と言っても農耕馬から競走馬まで幅広い品種があります。
走る早さの求められる競走馬の体重は 400~500kg ほどなのに対し、荷駄や耕具を曳く馬では、1トン近くになるものもいるなどさまざま。
馬の品種によって全く性質が違うため、統計などでは用途や馬の気質によって3~4種にカテゴライズする分類法が用いられています。
分類法は必ずしも明確ではなく、利用目的や国によって異なることもあります。
目次
日本で用いられる分類法
日本軽種馬協会をはじめとして、競馬関係の団体や施設でよく目にする軽種。サラブレッドやアラブを軽種とする分類法に由来します。
軽種・中間種・重種・在来種
1937年に馬政局により定められた「馬の種類呼称」に基づく分類法。農林水産省の家畜統計では4種に加え、ポニーを小格馬として分類しています。
軽種(けいしゅ)
軽種は体型がスマートで運動能力が高く、スピードに優れた馬。競走向き。
サラブレッド (Thoroughbred)、アラブ種 (Arab, Arabian)、アングロアラブ (Anglo-Arabian)、サラブレッド系種、アラブ系種
中間種(ちゅうかんしゅ)
軽種と重種の中間にある馬。牧場での実用・乗用や馬術競技向けで、正確も比較的温和。
スタンダードブレッド (Standardbred)、クォーターホース (Quarter Horse)、ハノーバー種 (Hanoverian)、オランダ温血種
重種(じゅうしゅ)
大型でスピードはないが力が強く、農耕や荷馬車を曳くために用いられる種。体重は800キロから1トンを超えるものもある。性格は温和なものが多い。
輓馬・ドラフトホースがこれに当たる。
ペルシュロン、シャイヤー、ブルトンなど
在来種(ざいらいしゅ)
外来種の血がほとんど入っていない日本固有の馬。現在は8種がいる。体高が147cm 未満なのでポニーに当たるが、小格馬とは別に扱われている。
北海道和種(道産子)、木曽馬、御崎馬、対州馬、野間馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬
小格馬(しょうかくば)
農水省の畜産統計で用いられている。荷駄向き。147cm 未満のポニー。
シェトランドポニー、ハフリンガー、ハクニーポニー
外見的特徴・運動性による分類(温血種・冷血種)
馬の外見的な特徴から、大柄で運動性が低い馬を冷血種、乗用馬向けの中型で運動性の活発な馬を温血種とする分類。
両者の交配によって生まれたものを半血種とよびます。
気質による分類(海外)
冷血種・温血種・熱血種
- 冷血種 (Cold blood)
ポニーとドラフトホース - 温血種 (Warm blood)
冷血種と熱血種の中間 - 熱血種 (Hot blood)
俊敏性とスピードに優れる馬
冷血種
冷血種は運動性の低い輓馬や農耕馬と、いくつかのポニーが含まれます。ほぼ重種と同じ。
温血種
冷血種と熱血種の中間に位置する品種。乗馬・競技向きの馬を指す。中間種に相当。
熱血種と冷血種の交配した馬というわけではない。
馬術競技向けの品種に「温血種 (warmblood)」の名がつけられることが多い。
ジャーマン・ウォームブラッド、オランダ温血種、アメリカンウォームブラッドなど。
熱血種
熱血種はスピードと俊敏性に優れた馬。サラブレッドやアラブ種の他、東方・中東(オリエンタル)を原産とする足が長くスリムな馬がこれに当たります。軽種とほぼ同じ。
サラブレッド (Thoroughbred)、アラブ種 (Arab, Arabian)、アングロアラブ (Anglo-Arabian)、アハルテケ (Akhal-Teke)、バルブ種 (Barb)、リピッツァナー (Lipizzaner)、トラケナー (Trakehner)、アンダルシアン (Andalusian)、絶滅したトルコマン種 (Turkoman)
用途別分類
馬の用途によって分類する方法。
輓馬(ばんば)は先進国では馬車馬として用いられているものの、駄馬・荷駄馬(だば・にだうま)はほぼ使われていません。
- 乗用馬(riding horse)
- 輓用馬(draft horse)
- 駄馬(pack horse)
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