馬の毛色

外見的特徴による種の固定のため、馬の品種によっては毛の色が登録のための要件となっていることがあります。馬車馬に用いられるクリーブランド・ベイはその代表例で、毛の色の特徴が違っていれば品種として登録されません。

品種登録に毛色の特徴が指定されていても、地域によって認められたり認められなかったりすることもあります。

黒鹿毛や青鹿毛、青毛など判別しづらい色では、1つのグループにされることもあります。DNAを確認しないとなんともいえないというケースもあり、馬の毛色の見分け方は結構難しいこともあります。

なお、サラブレッドの毛の色は鹿毛から白毛までの8色。

長毛は鬣(たてがみ)と尾(しっぽ)のことです。

代表的な馬の毛色

鹿毛(かげ:Bay)

IMG_6052

鹿毛は栗毛と並んで多いポピュラーな馬の色。赤褐色から黒い赤褐色で、足の先やタテガミ・尻尾の黒が特徴です。

全体に焦げ茶で足の先が黒くなっていると表現すれば、馬に興味のない人にもおそらく通じます。

信任状捧呈式の送迎の馬車を引いているのはクリーブランド・ベイ(系種)という、鹿毛しかいない品種の馬です。

馬の毛色・鹿毛(ベイ)鹿毛と黒鹿毛

 

黒鹿毛(くろかげ:Dark bay)

黒鹿毛(くろかげ)は黒味がかった赤褐色をしています。大きく動く関節部分や目の周辺は明るめ。

黒の濃さが馬によって差が大きく、青鹿毛とも区別しづらいことがあり、厳密に区別されないこともあります。

馬の毛色・鹿毛(ベイ)鹿毛と黒鹿毛

 

青鹿毛(あおかげ:Brown/Seal brown)

ボスニア・マウンテン・ホース青鹿毛

青鹿毛(あおかげ)は全身が黒で、大きく動く関節や、眼や鼻などに褐色がある毛色です。青毛との違いは鼻や目の周りが褐色であること。多くの場合、黒馬で前肢と後肢の付け根が茶色っぽくなっていれば青鹿毛です。

しかし濃い黒鹿毛と青鹿毛、濃い青鹿毛と退色した青毛は判別できないことがあり、区別されないケースもあります。

青毛のアイリッシュドラフトホース青鹿毛と青毛【馬の毛色】

 

青毛(あおげ:Black)

馬の毛色青毛

青毛(あおげ)はいわゆる黒馬。毛も肌も黒ですが、日に焼けたり老いて色が薄れることもあります。

退色した青毛は青鹿毛と区別がつかないこともあります。

青毛のアイリッシュドラフトホース青鹿毛と青毛【馬の毛色】

 

栗毛(くりげ:Chestnut / Sorrel)

ウェストファーレン種・栗毛

栗毛(くりげ)は栗色(黄褐色)の毛色で、鹿毛と同じくポピュラーな色です。全体的に明るい色をしており部位による色の差があまりありません。

鹿毛とは肢の先が黒くなっていないことと、部位による色の差が少ないことで見分けられます。

ソレル(Sorrel)と区別されることもありますが、地域や血統登録によるもので、遺伝的な違いはないとされています。

ウェストファーレン種・栗毛栗毛と栃栗毛

 

栃栗毛(とちくりげ:Liver Chestnut)

トーリーホース・栃栗毛

栗毛より暗く、赤褐色を帯びた毛色を指します。栗の前に栃とついていることからも、より暗い栗の色を表していることが伺えます。ただし、黒にはなりません。

ウェストファーレン種・栗毛栗毛と栃栗毛

 

芦毛(あしげ:Gray)

アラビアンアラブ種 芦毛

芦毛(あしげ)は、年をとると白くなる毛色。

生まれた時点ではさまざまな毛の色をしているものの、年を取るにつれて白くなっていきます。ほとんどの場合、最終的には完全な白か、元の色の斑点を残した白になります。

肌がピンクの白毛とは異なり、芦毛の肌は毛の色の変化にかかわらず黒のままです。

競馬の誘導馬に用いられる白馬は芦毛がほとんど。

白毛の馬ドミナントホワイト葦毛、白毛、佐目毛【馬の毛色】

 

白毛(しろげ:White)

白毛(しろげ)はいわゆる白馬。全身が白い毛で覆われており、肌はピンク。

白毛の馬ドミナントホワイト葦毛、白毛、佐目毛【馬の毛色】

 

 

佐目毛(さめげ:double dilutes)

佐目毛

佐目毛(さめげ)は体毛と長毛は象牙色~白で、皮膚はピンク色をしています。眼は青色で明るい色合いをしています。

色素がないアルビノのようにも見えますが、メラニン色素はあり視力に障害もありません。

白毛の馬ドミナントホワイト葦毛、白毛、佐目毛【馬の毛色】

 

月毛(つきげ)/パロミノ(palomino)

馬の毛色 月毛・パロミロ

月毛・パロミロWikipedia / flickr

月毛(つきげ)は栗毛より明るく、クリーム色から淡い黄白色の毛色を指します。金色とも表現されることがあります。尾と鬣の色は体毛と同じか、さらに明るいものもあります。

 

粕毛(かすげ:Roan)

粕毛WikipediaCC by 3.0

もともと持つ毛色に白の毛がまじることで、体が灰色っぽく見える毛色。黒に見えるのは灰色の毛ではなく、栗毛・鹿毛・青毛が白地に入っている状態。

栗粕毛(原毛色が栗毛系)、鹿粕毛(原毛色が鹿毛系)、青粕毛(原毛色が青毛系)と区別されます。

薄墨毛と区別するのが難しい。

 

薄墨毛(うすずみげ:Dun)

薄墨毛WikipediaCC by 2.0

薄墨毛は灰褐色から薄墨色の毛色。肢元は黒。白い毛に色のついた毛が混じっているのではなく、毛の色が薄墨色で、年齢によって退職することもありません。

 

サラブレッドの毛色出現割合

 

栗毛栃栗毛鹿毛黒鹿毛青鹿毛青毛芦毛白毛
23.8%0.7%51.2%14.2%2.6%0.4%7.1%0.01%

サラブレッドの産駒の毛色(ジャパン・スタッドブック・インターナショナル

 

おまけ

牡馬と牝馬の毛色から、子供の毛色の出現率を計算できる電卓
馬の毛色計算機(英語)

遺伝子について詳しく知りたいならWikipedia
馬の毛色 – Wikipedia

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です