ラルフローレンといえばポロポニーのマークですが、現代のポロポニーは分類からすると「ポニー」ではなく、ふつうの馬です。
ポニーは体高(高さ)が 147cm 以下の馬の分類。日本では小格馬のとも表記され、特定の品種を指すわけではありません。
馬の大きさによる分類法では147cm 以上あればポニーには当てはまらないことになります。にも関わらず、150cm以上あるのにポニーと呼ばれる馬がいます。
なぜこのようなことが生じるのでしょうか。
ポニーではないのにポニーと呼ばれる馬
高さにかかわらずポニーと呼ばれる馬には、カウ・ポニーとポロ・ポニーがいます。
カウ・ポニー
牧場などの家畜管理に用いられる馬はカウ・ポニーと呼ばれることがあります。
カウボーイの乗る馬ですね。
いわゆる畜産馬(Stock Horse)のうち、牛を追うために用いられる馬を伝統的にカウ・ポニーと呼んでいたことに由来します。カウ・ホースとも呼ばれます。
伝統的なカウ・ポニーは、142cm 以下で320kg ~ 410kg 程度の小型だったため、定義的にもポニーであったようです。
家畜を扱うために用いられるため、小さめで乗り降りしやすい方が都合が都合がよかったのです。
カウ・ポニーの特性としては、機敏さと素早さのほか、本能的に牛を追うのに適した動きができることが求められます。
牛を分断して一頭だけ引き離したり、作の中へ追い込むために小回りがきき、狭い範囲での方向転換が必要になります。ウエスタン馬術 ”レイニング”には、その場で回転するスピンやスムーズに後退するバックアップ、180度方向転換するロールバックなど、家畜を追うための技術が見て取れます。
カウ・ポニーとして用いられる馬
- オーストラリアン・ストック・ホース
- アメリカン・クォーターホース
- アメリカン・ペイントホース
- アパルーサ
- バンカーホース
- フロリダ・クラッカー
ポロ・ポニー
馬術競技の「ポロ」に用いられる馬はポロ・ポニーと呼ばれます。ラルフローレンのトレードマークにもなっているやつですね。
かつては競技に用いる馬の体高制限があり、ポニーサイズの147cm 以下のみが許されていました(さらに低い時代もあった)。
しかし現代では制約がなく、サラブレッドとの交配も行われています。
ポロ・ポニーはボールを追うため、頻繁な方向転換やスムーズなスピードの変化に対応しています。鞍上(騎乗者)への従順さと、コンタクトが発生した時にも気性のよさも必要とされます。
リードポニー
アメリカの競馬場で出走馬の本馬場入場に伴う馬は「リードポニー」と呼ばれます。友達がいれば落ち着くため、そばによりそって移動します。
リードポニーとして用いられる馬は「ポニー」とは限りませんが、ポニーと呼ばれています。
147cm 以下なのにポニーではない馬
アイスランドホースは長い体毛、短い首、短い肢をもち、体高も147cm 以下。ポニーの特徴を備えているにも関わらず、その気性からポニーとは分類されません。
フィヨルド・ホースもポニーの特徴がみてとれますが、147cm 以上になるものもあるためポニーとは呼ばれていません。
ただ、ポニーかそうでないかは血統台帳上の定義によるものなので、ポニーと呼ばれることもあります。
「ポニー」の特徴
一般的に147cm 以下の馬をポニーと分類しますが、「馬」とは異なる外見的特徴もあります。
一般的にポニーは頭と首が短く全体的にコンパクトで、馬に比べると丸みを帯びています。肢は短く、骨の占める割合も高い(骨太)。体毛も全体的に長く豊かで、冬にはモコモコになる品種もあります。
ズングリ・ムックリというイメージ。
外見的特徴の他、気質や運動性によってポニーと呼ばれることがあります。カウ・ポニーやポロ・ポニーが未だに「ポニー」と呼ばれるのは、運動性に着目しているとする見かたもあります。