JRA大量除外事件と薬物規制のあり方、ノモケンの記事から考える 

156頭の一律除外は内廐制度ゆえに生じた

15日と16日の2日間に出走予定であった156頭もの馬が出走除外となったのは、リスク管理の問題と言っていい。禁止薬物が検出される「可能性」のある馬をそれと知りながら出走させ、レース後の検査で陽性が出た場合は大きな問題となる。

主催者が知っているか知らないかで意味合いが大きく変わる。

陽性の疑いのある馬を出走させるためには、問題のサプリメントを摂取した個々の馬の陰性を確認し、その後にグリーンカルを与えないだけでよかった。

しかしテオブロミン混入の事実をJRAが把握したのが14日午後、全頭検査をする時間の余裕がなかったため、選択肢がなかった。

「いやいや、厩舎ごとの判断でいいじゃない?」という考え方もあるだろうけれど、これは内廐制をとっている現状では難しい。

内廐制というのは競馬施行者の施設に厩舎を構える体制のこと。JRAで言えば美浦・栗東のトレーニングセンターが内廐施設となっている。

JRAの管理するトレセンで営業を許されている会社が、検査済みとして売っていた飼料に禁止薬物が混入していた。そんな状況で競馬主催者でもあるJRAが「厩舎ごとに判断してね」と言っては無責任というものだろう。

調教師に出走を取り消す判断を委ねたら、調教師にとっても厄介な問題となっていたことは難くない。検査済みのものを使っていたのにそんな問題を押し付けられ、馬主に出走させろと言われば「可能性の段階であり、これまでも陽性が出なかった事実」を持ち出されれば出さないわけにはいかない。


もし内廐制でなければ、個々の調教師の判断に委ねる余地はあったろう。調教師は自前、あるいは民間のトレーニング施設に入居して個々に厩舎を構えていれば、そこでどんな飼料を与えていようがJRAは関知しないで済む。JRAは調教師の免許の発行や出走馬の検査をするだけであれば、調教師の責任において出走させることも可能だったかもしれない。


制度面での見直しをするのであれば、競馬施行者としてのJRAやNAR、馬を預かりトレーニングをする調教師、そしてジョッキーそれぞれの関係から変える必要があるのではないだろうか。

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