IR(Integrated Resort=カジノを含む統合型リゾート施設)がらみのスキャンダルで、2025年までのカジノ開設の雲行きが怪しくなっています。
個人的には、カジノには経済的メリットはあるし、あってもいいんじゃない?程度の認識です。
自分は行かないしカジノそのものはどうでもいいのですが、IRをきっかけにギャンブル依存症対策が義務化されたことを考えると、カジノ議論のなかで既存の賭博の見直しも進むというメリットもあるように感じています。
ギャンブル依存疑いのある人0.8%のうち、0.7%はパチンコ・パチスロによるもの。したがってカジノによる依存症を心配するなら、まずはパチンコを規制しましょうとなる方が自然です。
ただ、ギャンブルを見直すのであれば、まずは宝くじです。「依存症と関係ないし、ギャンブルじゃないじゃん」と思う人もいるとは思います。が、宝くじはもともと期間限定的な存在で、本来はなくなっているべきものなのです。
当せん金付証票法 e-gov
昭和二十三年法律第百四十四号
当せん金付証票法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする。
当せん金付証票法では、「当分の間」となっています。
また、昭和29年の閣議決定では、「なるべく早く全廃する」としています。
昭和29年02月12日 閣議・決定
当せん金附証票の運営について当せん金附証票の運営について 当せん金附証票法に基くいわゆる宝くじの発売については、戦後における経済の実情に即応し、浮動購買力の吸収と政府及び地方公共団体の財政資金調達のための特別の措置として暫定的にこれを実施することとしたものであつて、その性質上、経済の正常化に伴いなるべく早い機会に廃止せられるべきものである。よつて、宝くじの発売について従来から採つて来た縮減の方針をこの際更に徹底し、昭和29年度以降においては、まず政府による宝くじの発売を取りやめるものとする。なお、地方宝くじの発売は、地方財政の現状その他の事情にかんがみ、当分の間、これを継続するが、今回の政府宝くじ廃止の趣旨に則り、将来適当な機会においてなるべく早く全廃することを目途として、漸減の方針のもとに運営すべきものとする。
政府の宝くじはとりあえず廃止するが、地方財政への寄与のために地方くじは当面は残す。しかしいずれ取りやめる、という内容です。
昭和29年03月15日
当せん金附証票法の一部を改正する法律
理由 最近における経済の実情にかんがみ、当せん金附証票の発売の縮減を図るため、さしあたり政府による当せん金附証票の発売を取りやめることとし、当せん金附証票法の一部を改正する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である
上は政府宝くじを廃止する法律。
一度なくすべきでしょう。やめられないのだとしたら、国自体が宝くじ依存症に陥っていることになります。
宝くじを永久になくせ言っているんではありません。やりたいなら再度やればいい。
ギャンブル関連は一から見直さないと、カジノ議論もまともにできません。カジノハンターイ!だけどパチンコOKの意味が分からないのです。宝くじ売り場が街中の目立つところにあっていい理由もよく分からない。スピードクジはギャンブル要素が高いと思うのです。
宝くじはギャンブルじゃないから、公序良俗に反しない?公営競技はパリミュチュエル方式だから、法的には富くじともとれます。
そもそも独立した賭博規制委員会をつくらないことがおかしいのです。宝くじ、スポーツくじ、公営競技バラバラの法律で規制しているので、それぞれ基準がバラバラです。
法律そのものは国会の審議を経ているのでそれほどの違いはありませんが、担当省庁ごとに考え方が異なっているため、どこまでがギャンブルかといった「客観的な」判断を行える場所がないのです。宝くじも公営競技も法律に則っている限りは、これはギャンブル性が高いから規制すべきといった判断ができない構造になっています。
どこからが射幸心を煽るのかも含めて、一回根本に立ち返って一から見直しましょうよ。