サラブレッドは生まれてから2年~3年ほどで競走馬としてデビューします。人間にすると中高生くらいの年齢にあたります。
- 生産(種付け・出産)
- 育成(馴致・調教)
- 入厩
- レースに出走(馬によってはJRAと地方競馬の間で移動がある)
- 引退
競走馬の多くは1から3の間に取引されます。取引は生産者から直接買うケースと、セリでの購入があります。セリは馬の年齢と時期に応じて開催されています。
1歳の初夏から秋にかけてのセリまでの間に、セリに向けた馴致を行い、販売までを請け負う事業者(コンサイナー:中期育成牧場とも呼ばれる)が入ることがあります。
レースは2歳の6月から編成されているため、馬の成長と調教に応じて、早ければ6月に競走馬としてデビューします。
JRAでデビューしても地方競馬に行くこともあれば、地方からJRAに移籍することもあります。JRA→地方→JRAという流れもあります。
引退後の行き先は乗馬が多く、ついで繁殖牝馬(肌馬)となります。
しかし引退後(乗馬や肌馬の引退後も含む)に食肉のために屠殺される競走馬が多いため、「競走馬の一生」を考えるなら最期は馬肉となります。一頭でも多くの馬を長く生かしたいと思う人によって、引退馬のための支援活動が行われています。
馬の誕生から競馬場まで
時期によって生産牧場、育成牧場と分けていますが、目安と考えてください。
競走馬としてのサラブレッドの出産時期は、1月~6月。
生まれたばかりの0歳の馬は当歳と呼ばれます。
馬は年が変わると歳をとるため、年が明けると1歳となります。明け3歳という表現は、満年齢では2歳でも年が明けたから3歳になった馬という意味です。
自然な状態での馬の出産は3月から6月ごろにかけてです。しかし早生まれのほうが2歳、3歳戦に有利なため、牝馬の繁殖期を人工的に早めることがあります。
成長して4歳になると生まれ月の差は小さくなりますが、幼いうちは数ヶ月の差が大きいため、デビューからクラッシックにかけての重要な時期を意識すると、生まれた時期も重要な要素になります。
離乳の時期になると馬の親子は離され、仔馬同士での生活に入ります。ここからは同い年の馬と群れでの生活となります。
集団生活を始めた仔馬たちは放牧され、自然と基礎体力をつけます。夜に厩舎に戻さずそのまま放牧する「昼夜放牧」も増えているようです。昼夜放牧では馬は不安もあって夜間も歩き回り、結果として運動量が増えます。
昼夜放牧といってもずっと放置ではなく、一定時間は厩舎に戻します。
この期間に馬にのった人に追いかけられて走る「追い運動」なども行われます。
夏から秋頃になると、ハミに慣れさせたり人を乗せるための騎乗馴致が行われます。
騎乗馴致が終わると、人を乗せて走ることを教えこみます。体力や筋力をつけて、先の調教に耐えられる体を作ります。
充分となったら競走馬としての本格的な調教が始まります。
1歳、2歳馬はまだ成長途上で足元の骨も固まっていないため、訓練は様子を見ながら行われます。
馬名登録を終え、トレーニングセンターに入厩して競馬施行者への登録されると、競走馬として働けるようになります。
入厩後は担当調教師の調教を受けてデビューの準備を行います。
競馬は2歳馬のための番組(レース)が6月から編成されているため、早い馬は6月にメイクデビュー(新馬戦)で競走馬としてデビューを果たします。
成長の度合いは馬によって異なるため、デビューの時期はまちまちです。
早めにデビューしてレースの経験を積み、さらに多く勝てれば3歳のクラッシック路線で有利になるため、早く仕上げる(競走馬として走れる状態にする)傾向にあります。
一頭のサラブレッドのデビューまでには生産牧場での種付けから始まり、生産牧場のスタッフ、馬主、調教師、育成スタッフなど、多くの人が関わっています。
馬は人間の思いなんて知ったこっちゃないとは思いますが、一頭一頭の馬は多くの人の思いを乗せてレースを走っています。