JRAの禁止薬物リスト・規程・競馬法

馬厩舎JRAの大量競走除外が発生した禁止薬物問題

海外の馬術競技と競馬(イギリス)で、禁止薬物のミノキシジルが検出され、ドーピング調査を受けた事例がありました。

いずれも厩務作業をしていた人が使用したAGA(若禿げ)育毛剤に含まれる成分「ミノキシジル」が何らかの形で管理していた競走馬の口に入ってしまい、馬がドーピング検査でひっかかったというもの。

育毛剤のついた頭をかいたり髪を整えた手で、馬に餌をやったり手入れをしているうちに入ってしまったようです。

ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発されていたもので、被験者の髪がフサフサになるという副作用が現れたことから、育毛剤として用いられるようになりました。髪を増やすだけでなく、血圧を下げるという薬理作用がはっきりしている薬物です。

しかし薬物には神経を使っている競馬の厩務員も競技馬の飼養者も、さすがにこれは想定外。イギリスの競馬では禁止薬物は明示されていませんが、自然に存在しない成分が検出されたらアウト。FEI(国際馬術連盟)ではミノキシジルは禁止薬物として明記されています。

 

日本ではどうかと調べたところ、JRAの規定ではAGAの治療に用いられるミノキシジルやフィナステリドは含まれていないことが判明。フサフサになる努力をしている厩務員さんも安心。海外遠征の時は飲み薬にするという手もあります。

MEMO
AGAは体質なので、本人の努力ではどうにもならないのです。薬の力が必要なのです。

それはさておき、ヨーロッパの競馬主催者は個別に薬物を明記せず、「体内に自然に存在し得ない物質は全て禁止」と一括して指定されています。

一方、日本では競馬法での定めにより、禁止薬物名を指定する必要があります。JRAの競走(レース)の禁止する薬物は、日本中央競馬会競馬施行規程で規定されています。薬物検査は、レース終了後に1着から3着の馬に必ず行われます。

以下、JRAの禁止薬物規定。

JRA中央競馬会の禁止薬物一覧

別表(2)(第132条、第136条関係)
1 アセプロマジン
2 アドラフィニル
3 アトロピン
4 アミノフィリン
5 アミノレックス
6 アルプレノキシム
7 アルプレノロール
8 アンフェタミニル
9 アンフェタミン
10 イブテロール
11 イプラトロピウム
12 エタノール
13 エチルアンフェタミン
14 エチルモルヒネ
15 エフェドリン
16 オキシエチルテオフィリン
17 オキシプロピルテオフィリン
18 10-オキソカンファー
19 オクスプレノロール
20 カフェイン
21 カルバマゼピン
22 カンフル
23 キシラジン
24*キンボロン
25 グアイフェネシン
26 クレンブテロール
27 クロベンゾレックス
28 クロルプロマジン
29 クロルプロマジンスルホキシド
30 コカイン
31 コデイン
32 コリンテオフィリン
33 サルブタモール34 シクラゾドン
35 ジヒドロオキシプロピルテオフィリン
36 ジブカイン
37 シプロヘプタジン
38 ジメチルアンフェタミン
39 ジモルホラミン
40 スコポラミン
41 スタノゾロール
42 ストリキニーネ
43 セレギリン
44 テオフィリン
45 テオブロミン
46 デキストロアンフェタミン
47 デクスメデトミジン
48 テストステロン
49 デトミジン
50 テトラカイン
51 デプレニル
52 テルブタリン
53 トラマドール
54 トランスパイオキソカンファー
55 トレンボロン
56*ナンドロロン
57 ニケタミド
58 ニコチン
59 ノスカピン
60 バルビタール
61 バルビツール酸誘導体
62 バンブテロール
63 ピプラドロール
64 ファンプロファゾン
65 フェネチリン
66 フェンカミン
67 フェンプロポレックス
68 フラザボール
69 フルオキシメステロン
70 ブルシン
71 フルフェノレックス
72 プレニラミン
73 プロカイン
74 プロカテロール
75 フロセミド
76 プロピオニルプロマジン
77 プロプラノロール
78 プロマジン
79 ベタキソロール
80 ペモリン
81 ヘロイン
82 ベンズフェタミン
83 ベンゾジアゼピン誘導体
84 ペンタゾシン
85 ペンテトラゾール
86*ボルジオン
87*ボルデノン
88 メサピリレン
89 メソカルブ
90 メタンフェタミン
91 メチルエフェドリン
92 17α-メチルステロイド類
93 メチルフェニデート
94 メデトミジン
95 メテノロン
96 メトカルバモール
97 メトキシフェナミン
98 メトプロロール
99 メフェノレックス
100 モダフィニル
101 モルヒネ
102 リスデクスアンフェタミン
103 リドカイン
104 ロミフィジン
105 前各号に掲げる物のいずれかを含有
する物(遊離する物を含む。)

(備考) 禁止薬物名に「*」が付されたものは、第136条第7項に規定する禁止薬物を示
す。(*印は閾値が設定されている)

(競馬法)
第136条第7項
第1項に規定する理化学検査において、禁止薬物のうち別表(2)において特に指定するものについては、当該禁止薬物に係る閾(いき)値(禁止薬物の存否についての判定の際、理化学検査において一定の値を超えた場合に限り、当該禁止薬物の存在が確認されたものとする当該値をいう。)に基づいて存在を確認するものとする。

日本中央競馬会競馬施行規程(抜粋)

第9章 禁止薬物(第132条-第136条)

第132条

第132条 出馬投票をした馬その他の競走に出走させようとする馬(次項において「出走予定馬」という。)について、別表(2)に掲げる馬の競走能力を一時的に高め、又は減ずる薬品又は薬剤(以下「禁止薬物」という。)を使用してはならない。

2 禁止薬物以外のものであっても、出走予定馬について馬の競走能力を一時的に高め、又は減ずる目的をもって使用してはならない。

3 禁止薬物の影響下にある馬を出馬投票してはならない。

4 調教師は、前3項の規定の違反を防止するため、自己の管理する馬について適切な措置を執らなければならない。

第133条、134条

第133条 獣医委員及びその命を受けた者が、馬の監視のため 厩(きゅう)舎内へ出入りする場合には、これを拒むことができない。

(理化学検査)

第134条 競走において、第125条第3項の規定により確定した着順が第3着までの馬及び特に裁決委員が指定した馬については、禁止薬物に関する検査(以下「理化学検査」という。)を行う。

2 前項に規定する馬の調教師は、当該馬について理化学検査を受けるために必要な検体(尿又は血液をいう。以下同じ。)の採取を受けなければならない。ただし、裁決委員が特に認めた場合は、この限りでない。

3 前項本文の場合においては、獣医委員の指示するところにより、尿若しくは血液のいずれか又は尿及び血液の双方を検体として採取するものとする。

4 第2項の調教師は、第125条第3項の規定による当該競走の着順確定後直ちに当該馬を検体採取所にひき付け、当該馬の検体の採取が終了するまで、当該馬を検体採取所にけい留しなければならない。ただし、獣医委員は、特に必要と認めた場合は、検体採取所に替え、検体を採取する場所を別に指定することができる。

5 第1項に規定する馬に対しては、当該競走終了後から検体の採取が終了するまでの間、給飼し、又は投薬してはならない。ただし、獣医委員が特に認めた場合は、この限りでない。

第136条

第136条 本会は、前2条に規定する理化学検査を公益財団法人競走馬理化学研究所(以下「研究所」という。)に行わせるものとし、採取したA検体及びB検体の容器を封印の上、速やかに研究所に送付するものとする。

2 前項の理化学検査は、最初にA検体に対して行うものとし、当該理化学検査において禁止薬物の存在が確認された場合には、研究所は直ちに本会に当該A検体の検体番号及び存在が確認された禁止薬物名を報告しなければならない。

3 本会は、前項の報告を受けた場合には、B検体に対する理化学検査(以下「再検査」という。)の日時を指定し、当該日時に再検査を行うよう研究所に通知するものとする。

4 再検査は、理化学検査に関して学識経験を有する者のうちから理事長が委嘱した者の立会いの下で行うものとする。

5 前項に規定する立会人以外の者は、再検査に立ち会うことができない。

6 再検査において、第2項のA検体に対する理化学検査において存在を確認された禁止薬物と同じ禁止薬物の存在が確認された場合には、第132条第1項の規定の違反があったものとする。

7 第1項に規定する理化学検査において、禁止薬物のうち別表(2)において特に指定するものについては、当該禁止薬物に係る閾(いき)値(禁止薬物の存否についての判定の際、理化学検査において一定の値を超えた場合に限り、当該禁止薬物の存在が確認されたものとする当該値をいう。)に基づいて存在を確認するものとする。

 

禁止薬物を使用してレースに出たら

禁止薬物を与えてレースに出走させた場合、競馬法第31条により三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金が科されます(もちろん故意かどうかといった判断はある)。

第三十一条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

二 出走すべき馬につき、その馬の競走能力を一時的にたかめ又は減ずる薬品又は薬剤を使用した者

競馬法

禁止薬物の使用が疑われるときに警察に届けを出すのは、JRA内で行う制裁のレベルではなく司法の問題になるためです。

 

ヨーロッパの競馬主催者の禁止規定

フランスの競馬施行団体フランスギャロは「体内に自然に存在し得ない物質は全て禁止」としています。

ディープインパクトの2006年凱旋門賞挑戦の際に禁止薬物「イプラトロピウム」が検出され失格となったのは、自然状態では存在しない物質のため。イプラトロピウムの使用は現在では日本でも禁じられています。
ただし問題となるのはレース当日に検出されたことであって、使用そのものを禁じられているわけではありません。

イギリスでは、英国競馬統括機構により、あらゆる医薬品・サプリメント(ハーブ:薬草を含む)の使用が禁じられています。禁止物質をリスト化しない理由は「レース当日のパフォーマンスに影響を及ぼす、いかなるものも禁ずるという一般的な基準は明確であるため」としています。

馬厩舎JRAの大量競走除外が発生した禁止薬物問題

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