2007年に牝馬として64年ぶりにダービーを制したウォッカ(15歳)が、滞在先のイギリス・ニューマーケットで2019年4月1日午後に死亡(現地時間)。アイルランドで繋養されており、繁殖のために移動したニューマーケットで足を骨折。治療の甲斐なく蹄葉炎を発症し、回復が見込めないことから安楽死の措置が取られたとのこと。
2月23日から英国ニューマーケット近郊の牧場に移動。3月10日の早朝、スタッフが馬房内で右後肢の異変に気付き、病院に搬送されたという。その後は右後肢第3指骨粉砕骨折が認められ、手術を行うなど回復に向けての処置が続けられたものの、両後肢に蹄葉炎が発症。回復の見込みがなくなったことから、1日の午後に安楽死処分となった。
名牝ウオッカが蹄葉炎で死す – デイリースポーツ
※年齢はこちらの計算式を用いています。
蹄葉炎
蹄葉炎は蹄の内部に生じた炎症により生じる症状。骨折などの外傷の他、餌などの栄養状態によって腸内細菌叢の変化により発症することもあります。シンコウラブリイやサンデーサイレンスが蹄葉炎でなくなっています。
蹄は歩くたびに変形して血液循環の補助の役割を担っています。心臓から一番遠いところでポンプのような働きをしています。
これを蹄機作用といい、歩くことができないと蹄機が機能せず血液の循環に影響をきたします。そのため馬の蹄は第二の心臓とも呼ばれます。
肢に故障が生じた場合、他の肢に負担が多くかかると血液の流れが阻害されるため炎症が起こります。経度なら治癒することもありますが、重症では致命的になる。
馬の15歳は人間で言えば47.5歳ですが、繁殖牝馬としてはまだ現役。客死は残念…
馬の蹄と蹄機作用馬の年齢は人間に換算すると何歳か – 馬齢対応表
JRA追悼行事
JRAがウォッカを追悼して、4月6日に行われるメインレースに「ウォッカ追悼競走」名をつけるほか、献花台・記帳台を設置するとのこと。
1.ウオッカ追悼競走の実施
4月6日(土)の各競馬場のメイン競走について、「ウオッカ追悼競走」の副題を
付して実施いたします。
・第3回中山競馬第5日第11競走
「ウオッカ追悼競走 ニュージーランドトロフィー(GⅡ)」
・第2回阪神競馬第5日第11競走
「ウオッカ追悼競走 サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)」
・第1回福島競馬第1日第11競走
「ウオッカ追悼競走 吾妻小富士賞」
2.献花台・記帳台の設置
東京・中山・京都・阪神・福島の各競馬場においてウオッカへの献花台・記帳台を設
置するほか、その他の競馬場、全てのウインズ、競馬博物館(東京競馬場内)および
Gate J.(東京・新橋)において記帳を受け付けいたします。
◆ 設置期間 4月6日(土)~4月29日(祝・月)の競馬開催日
※ J-PLACEでは実施いたしません。3.その他
全国の競馬場・ウインズのターフビジョン・館内モニターにおいて、ウオッカ特集
ビデオを適宜放映いたします。
※ 一部のウインズおよびJ-PLACEでは実施いたしまhttp://company.jra.jp/7403/press/201904/201904041134.pdf
関係者のコメント(JRAが掲載)
谷水 雄三オーナーのコメント
このような形になり大変残念です。ウオッカには、ただただ感謝の気持ちしかありません。7つのGⅠを勝ち、その全てが印象に残っていますが、特にあげるのであればやはり牝馬として64年ぶりの制覇となった日本ダービーと、13分の写真判定の結果の勝利となった天皇賞(秋)、同じくハナ差で制したジャパンカップです。
繁殖牝馬としても仔出しが良く、今年の1月28日に産まれた父フランケルの牝馬を含め、7頭の仔を産んでくれました。2頭の牝馬はすでに繁殖に上がっており、ウオッカの血を繋いでくれることに期待しています。
多くのファンに応援していただいた馬で、ファンレターもたくさんいただきました。今でも当時を思い出し、胸が熱くなります。これまでの応援に心から感謝しています。角居 勝彦調教師のコメント
厩舎をメジャーにしてくれた功労者で、私にとっても大切な馬でした。ファンも大変多い馬で本当に残念です。
武 豊騎手のコメント
僕にとって大変思い出深い馬でした。名馬と呼ぶに相応しい馬だと思います。ファンの多い馬でしたし、本当に残念なニュースです。ご冥福をお祈りいたします。
四位 洋文騎手のコメント
ショックです。僕にとっては子供の頃からの夢であったダービーを取らせてくれたかけがえのない馬です。自分として、スーパーホースの背中を知れた事は、それからの競馬人としての指標にもなりました。あんな馬にはもう巡り合えないかも知れません。ただただショックでなりません。ご冥福をお祈りいたします。
競走成績
競走成績: 26戦10勝(うち海外4戦0勝)
獲得賞金: 13億3356万5800円
(中央競馬)13億487万6000円
(ドバイ)2868万9800円
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | 枠番 | 馬番 | オッズ (人気) | 着順 | 騎手 | 斤量 | 距離(馬場) | タイム (上り3F) | 着差 | 1着馬(2着馬) |
2006/10/29 | 京都 | 2歳新馬 | 13 | 4 | 4 | 3.3(2人) | 1着 | 鮫島克也 | 54 | 芝1600m(良) | 1:35.0(34.5) | -0.6 | (レースドール) | |
2006/11/12 | 京都 | 黄菊賞 | 8 | 7 | 7 | 3.0(2人) | 2着 | 四位洋文 | 54 | 芝1800m(良) | 1:49.5(34.1) | 0.2 | マイネルソリスト | |
2006/12/03 | 阪神 | 阪神JF | GI | 18 | 1 | 2 | 11.1(4人) | 1着 | 四位洋文 | 54 | 芝1600m(良) | 1:33.1(34.2) | 0.0 | (アストンマーチャン) |
2007/02/03 | 京都 | エルフィンS | OP | 9 | 8 | 9 | 1.7(1人) | 1着 | 四位洋文 | 56 | 芝1600m(良) | 1:33.7(34.0) | -0.5 | (ニシノマナムスメ) |
2007/03/03 | 阪神 | チューリップ賞 | JpnIII | 16 | 6 | 11 | 1.4(1人) | 1着 | 四位洋文 | 54 | 芝1600m(良) | 1:33.7(33.5) | -0.1 | (ダイワスカーレット) |
2007/04/08 | 阪神 | 桜花賞 | JpnI | 18 | 7 | 14 | 1.4(1人) | 2着 | 四位洋文 | 55 | 芝1600m(良) | 1:33.9(33.6) | 0.2 | ダイワスカーレット |
2007/05/27 | 東京 | 東京優駿 | JpnI | 18 | 2 | 3 | 10.5(3人) | 1着 | 四位洋文 | 55 | 芝2400m(良) | 2:24.5(33.0) | -0.5 | (アサクサキングス) |
2007/06/24 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 18 | 1 | 2 | 3.5(1人) | 8着 | 四位洋文 | 51 | 芝2200m(稍) | 2:14.0(38.0) | 1.6 | アドマイヤムーン |
2007/10/14 | 京都 | 秋華賞 | JpnI | 18 | 8 | 16 | 2.7(1人) | 3着 | 四位洋文 | 55 | 芝2000m(良) | 1:59.3(33.2) | 0.2 | ダイワスカーレット |
2007/11/11 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 13 | 3 | 3 | 四位洋文 | 54 | 芝2200m(良) | 出走取消 | ダイワスカーレット | |||
2007/11/25 | 東京 | ジャパンC | GI | 18 | 6 | 11 | 6.1(2人) | 4着 | 四位洋文 | 53 | 芝2400m(良) | 2:24.9(33.6) | 0.2 | アドマイヤムーン |
2007/12/23 | 中山 | 有馬記念 | GI | 15 | 8 | 16 | 6.9(3人) | 11着 | 四位洋文 | 53 | 芝2500m(稍) | 2:35.7(37.9) | 2.1 | マツリダゴッホ |
2008/02/23 | 京都 | 京都記念 | GII | 16 | 8 | 16 | 3.4(2人) | 6着 | 四位洋文 | 56 | 芝2200m(良) | 2:13.9(33.8) | 0.3 | アドマイヤオーラ |
2008/03/29 | ナドアルシバ | ドバイDF※ | G1 | 16 | 12 | 12 | 発売なし | 4着 | 武豊 | 55 | 芝1777m(良) | 計測不能 | Jay Peg | |
2008/05/18 | 東京 | ヴィクトリアマイル | JpnI | 18 | 5 | 9 | 2.1(1人) | 2着 | 武豊 | 55 | 芝1600m(良) | 1:33.8(33.2) | 0.1 | エイジアンウインズ |
2008/06/08 | 東京 | 安田記念 | GI | 18 | 3 | 5 | 4.1(2人) | 1着 | 岩田康誠 | 56 | 芝1600m(良) | 1:32.7(34.0) | -0.6 | (アルマダ) |
2008/10/12 | 東京 | 毎日王冠 | GII | 16 | 2 | 3 | 1.5(1人) | 2着 | 武豊 | 57 | 芝1800m(良) | 1:44.6(33.8) | 0.0 | スーパーホーネット |
2008/11/02 | 東京 | 天皇賞(秋) | GI | 17 | 7 | 14 | 2.7(1人) | 1着 | 武豊 | 56 | 芝2000m(良) | R1:57.2(34.4) | 0.0 | (ダイワスカーレット) |
2008/11/30 | 東京 | ジャパンC | GI | 17 | 2 | 4 | 3.7(2人) | 3着 | 岩田康誠 | 55 | 芝2400m(良) | 2:25.7(34.3) | 0.2 | スクリーンヒーロー |
2009/03/05 | ナドアルシバ | ジェベルハッタ | G2 | 16 | 7 | 7 | 発売なし | 5着 | 武豊 | 57.5 | 芝1777m(良) | 1:49.18 | 0.34 | Balius |
2009/03/28 | ナドアルシバ | ドバイDF | G1 | 16 | 3 | 3 | 発売なし | 7着 | 武豊 | 55 | 芝1777m(良) | 計測不能 | Gladiatorus | |
2009/05/17 | 東京 | ヴィクトリアマイル | GI | 18 | 3 | 6 | 1.7(1人) | 1着 | 武豊 | 55 | 芝1600m(良) | 1:32.4(33.4) | -1.2 | (ブラボーデイジー) |
2009/06/07 | 東京 | 安田記念 | GI | 18 | 2 | 3 | 1.8(1人) | 1着 | 武豊 | 56 | 芝1600m(良) | 1:33.5(35.7) | -0.1 | (ディープスカイ) |
2009/10/11 | 東京 | 毎日王冠 | GII | 14 | 6 | 6 | 1.3(1人) | 2着 | 武豊 | 57 | 芝1800m(良) | 1:45.5(33.8) | 0.2 | カンパニー |
2009/11/01 | 東京 | 天皇賞(秋) | GI | 18 | 4 | 7 | 2.1(1人) | 3着 | 武豊 | 56 | 芝2000m(良) | 1.57.5(32.9) | 0.3 | カンパニー |
2009/11/29 | 東京 | ジャパンC | GI | 18 | 3 | 5 | 3.6(1人) | 1着 | C.ルメール | 55 | 芝2400m(良) | 2.22.4(34.8) | 0.0 | (オウケンブルースリ) |
2010/03/04 | メイダン | A.M.C.Rd.3 | G2 | 14 | 8 | 8 | 発売なし | 8着 | C.ルメール | 56 | 全2000m(良) | 計測不能 | Red Desire |
※ドバイDF(ドバイデューティーフリー:現ドバイターフ1800m
印象深いレース
2007年5月27日 東京優駿(日本ダービー)ウオッカ 四位洋文
2008年天皇賞(秋) ウォッカ 武豊
- ウォッカ号が死亡|JRA
- 名牝ウオッカが蹄葉炎で死す|デイリースポーツ
- アイキャッチ・トップ画像|Goki [CC BY-SA 3.0], ウィキメディア・コモンズ経由