三つの部門でトップを飾る「三冠」は、さまざまなスポーツで設定されています。競馬にも国や地域ごとに多数あります。
日本でも競馬の三冠はいくつもありますが、三歳馬の三冠といえば中央競馬(JRA)で開催される「クラシック三冠」が真っ先にあげられます。
三歳三冠をかけた中央競馬で行われるクラシックレースは5つあります。そのうち牡牝を問わないレースは3つで三冠は分かる。しかし牝馬限定競走は2つのみ。牝馬三冠もあるのに、一つ足りません。
クラシック三冠馬は三歳馬のみが出走できる、皐月賞、東京優駿、菊花賞の3競走すべてに勝った馬のことをさします。春と秋に開催されるクラシックレースは大変もりあがり、こと、JRAが街中でのキャンペーンを行う日本ダービーは競馬をしない人の耳目を集めます。
クラシック競走には牝馬のみが参加できる桜花賞とオークスの2つも含まれています。牝馬競走のみのクラシック3冠は達成できないため、牝馬でクラシック三冠を取るには菊花賞での勝利が必要となります。
牝馬三冠は、牡牝を問わず出走できるクラシック三冠とは異なるのです。
クラシックレースは優秀な繁殖馬選定を目的としているため、セン馬は出走できず、牡か牝のみに制限されています。
クラシック三冠とクラシックレース対応
JRAのクラシック競走は、イギリスのクラシックレースを参考に創設されました。イギリスのクラシックレースは5つあり、日本のレースもそれぞれに対応しています。牡牝をとわない三冠は分かりやすいですが、牝馬限定競走3つ目がない。
イギリスでの牝馬三冠の3つ目はセントレジャーステークス(菊花賞にあたる)になっています。それに対して日本では牝馬競走限定での三冠は非クラシック競走が設定されています。
クラシック競走のイギリスとの対応
- 桜花賞 ー 1000ギニー
- 皐月賞 ー 2000ギニー
- 優駿牝馬(オークス) ー オークス
- 東京優駿(日本ダービー) ー ダービーステークス
- 秋華賞/エリザベス女王杯 ー なし
- 菊花賞 ー セントレジャーステークス
クラシック三冠(牡牝問わず)
- 皐月賞
- 日本ダービー(東京優駿)
- 菊花賞
牝馬三冠
- 桜花賞
- オークス(優駿牝馬)
- 秋華賞/エリザベス女王杯
牝馬三冠の3つ目の秋華賞/エリザベス女王杯が、クラシック競走ではないというわけです。1995年まではエリザベス女王杯が3つ目でしたが、1996年より3歳限定ではなくなったため、かわりに三歳限定戦としての秋華賞が創設されています。つまり歴史がない。
クラシック三冠は牡馬三冠とも呼ばれますが、牝も出走できるため、厳密には異なるものです。
イギリスのクラシック競走の歴史
イギリスクラシックレースの創設年。三歳限定のクラシックレースとして成立したのは1825年頃。距離は時期によって異なります。
- 1776年 セントレジャーステークス ドンカスター競馬場 2937m
- 1779年 オークス エプソム競馬場 2423m
- 1780年 ダービーステークス エプソム競馬場 2423m
- 1809年 2,000ギニーステークス ニューマーケット競馬場 1609 m
- 1814年 1,000ギニーステークス ニューマーケット 1,609 m
※ギニーは貨幣の単位で、1ギニーは1ポンド1シリング。1ポンドは20シリングのため、1ポンドに5%加わった単位になる
※皐月賞は1マイル(約1600メートル)の2000ギニーを参考に創設されたのに、なぜか2000mとなっています
イギリスでは競馬は同じ馬で何度も競走を行い、ある馬が何勝かするまで勝負を繰り返すヒート競走が行われていました。激しい競り合いのことを「デッドヒート」よびますが、もともとは競馬で1ヒートの決着がつかない「同着」や「無効試合」のことを指していました。
決着がつくまでに何度も走るため、競争馬は大人の馬である5歳以上が一般的でした。そんな時代に、まだ若駒と言える3歳馬限定のレースを設置。しかも一回限りで決着をつける「ダッシュ競走」を導入したためにまたたく間に人気になったというわけです。
1776年にセントレジャーステークスが開催されて話題になると、牝馬限定のオークスが創設されて、翌年にはダービーが始まりました。
初期の3つと1000ギニーS、2000ギニーSの設立までにはやや時間の開きがあり、5つの競走は別々に行われていましたが、同じ路線ゆえにシリーズ化したと言われています。