角居勝彦調教師の引退馬支援呼び掛け動画 福祉のおざなりを招く屠殺忌避

JRA調教師にしてサンクスプラットフォーム設立の立役者でもある角居勝彦調教師が、サラブリトレーニングの配信する動画で、ふるさと納税での寄付の訴えを行っています。

サラブリトレーニングは引退馬の再調教を行っているNPO法人で、吉備中央町のふるさと納税から寄付ができるようになっています。ガバメントクラウドファンディングとも呼ばれるスキームによるものです。

角居師は動画で、コロナ禍にある今年は、サラブリトレーニングへのふるさと納税の寄付額が昨年と比べて半分程度であるため、さらなる支援を求めるものです。

まとめるとこうですね。

  • コロナ禍の影響でふるさと納税寄付金が昨年と比べて半分程度
  • 今年は引退馬の引き受けが多い
  • 病気を抱えている馬が多く入厩しており手間がかかる

資金が必要で支援を呼びかけるのはいいのですが、筆者には問題がある内容だと思えます。

角居師は、コストのかかる病気や故障している馬を”多く”引き受けているために”手間がかかると言っています。

動物福祉を考えるなら、病気になる前に引退させろと言うのが筋ですが、そういう啓発はしないようです。

そもそも病気や故障の治療期間の費用は馬主負担にすれば、ひどくなる前に引退させるん違いますか?治療に関しては支援を求める相手が違う(病気を抱えていることを理由として支援を呼び掛けるなら、順番がおかしいのであって、常に馬主が費用を負担すべきという意味ではない)。

「屠殺を減らす必要はあるから一頭でも多く助ける」のはいい。しかし生産頭数を減らさない限り、屠殺数はほとんど減りません。

角居師が生産数を減らせと言っているならまだ筋は通りますが、2年くらい前は減らすことには否定的なコメントをされていたと記憶しています(記憶違いなら失礼)。

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サラブリトレーニングのクラファン実施期間

ついでと言ってはなんですが、今年はどの程度ふるさと納税の額が減ったのか数字を見てみます。

サラブリトレーニングの吉備中央町によるクラウドファンディングは、ふるさとチョイスとマイレージを活用したANAの二通りのものが示されています。

ANAは数字が公表されていないので、数字と期間はふるさとチョイスのみで考えます。今年は航空機での移動も制限されたためにマイレージが貯まらず、ANA経由は少ないかもしれません。ただ、ふるさとチョイスほど宣伝していませんし、そこまでの違いは出ないでしょう。

 

2019年と2020年のクラファン実施期間は異なるため単純には比較できませんが、2020年は27日時点の通年で44,882,235円、2019年は72,608,915円(50,465,300円+前年12月分も含めた22,143,615円)。2019年分は12月31日をまたいでいるので、多めに出ます。とはいえ相当な違いが生じています。

  • 2019年8月1日~2019年12月31日(153日間)
    39,670,600円
  • 2020年11月2日~2020年12月31日(60日間)
    23,470,235円・27日現在

 

ただ年末に限ればそこまで少なくもないでしょう。

  • 2019年は153日間で約4000万円、2020年は60日弱で2400万弱(27日現在)
  • 2020年は2019年の4割程度の期間で昨年の半分の額(ビデオ公開時)が集まっている

 

動物福祉では屠殺を否定しません。死の概念を持つ種ら配慮の対象とされることがありますが、それ以外はOK。

そうでなければ家畜の利用を肯定できなくなり、肉なんて食えなくなります。

引退競走馬については、サラブレッドの生産頭数を減らせない限り屠殺数も減らない。それなら、すぐにでもできる福祉向上でもしたら?というのが筆者の感想です。

ムチ規制の研究や「走れるうちは走らせる」といって、故障を抱えまくってセカンドキャリアでも厳しくなる馬を減らすとか、調教師の立場からでもできることはいくらでもあるはずです。

たとえば怪我があるときに用いられる痛み止め「鎮痛消炎剤」。レースでの事故に繋がりかねないため現在では「規制薬物として」、レースでの使用が禁止されています。

痛みをごまかして走らせるのは、事故のリスクが高まります。騎手の安全性や馬の福祉に直接的につながるこの規制導入に、どれだけの調教師が推進したのだろうか。

全面規制される前に規制の趣旨を理解して、全面禁止をすべきと訴えた調教師はどれだけいる?

こういうことっていっぱいあると思うんですよね。でも、屠殺忌避にばかりとらわれていたら、他はおざなりになります。

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