ギャンブラーにとっては、まったくギャンブルをしないことが最大の利益となるージェロラモ・カルダーノ
AI、天気予報、保険、防災
確率論は、現代の社会ではさまざまな形で用いられています。保険の掛け金や、地震がどの程度の頻度で起きるかという予測は身近なものですよね。
この確率論、ギャンブルがきっかけとなって生まれたということを知ってます?
確率論と賭博の関係
こんかい調べて初めて知ったのですが、「ルネサンス期には、賭け事は「十中八九」のようなオッズの観点から議論された。海事保険の保険料は直感的危険に基づいて見積もられるが、そうしてオッズや保険料を算出する方法の学説など存在しなかったのだ」とのこと。
確率論に基づかない保険料算出方法の時代には、損する人得する人が出ていたのでしょう。
確率論の成立
確率論の起源はフェルマーとパスカルの1654年頃の往復書簡と言われています。
フェルマーとパスカルは、現代でいう期待値を用いて、シュバリエ・ド・メレ(アントワーヌ・ゴンボー)という賭博師から持ちかけられた問題を、解決した。これが確率論の始まりとされています。
メレの持ちかけた問題は、「賭けを途中でやめたときの金をどう分配すれば公平になるか」を考えたのです。3回先勝したほうが勝ちの勝負で、2回目終了時に辞める場合に賭け金をどう分ければいいのか。
賭け金の総額を先勝できる確率に応じて分配する=期待値で分配という現代の考え方をしたあわけです。
その後、大数の法則は1713年にベルヌーイによって示され、確率と統計はベルギーの数学者ケトレーによって19世紀前半に統合されることになりました。
フェルマーとパスカル以前
確率論の起源という点ではフェルマーとパスカルが始まりとされていますが、確率そのものは賭博師によって考えられてきました。エピソードとしての面白さでは、ガリレオ・ガリレイの話が面白い。
ガリレオは、「3つのダイスを振ったときの和」を予想する賭けについて、賭博師に相談されました。数字としては3~18のいずれかになるわけですが、頻度が違う。
3つのサイコロの「目の和が9」と「目の和が10」になる組み合わせは、どちらも6通り。
賭博師は同じ”確率”と考えたのに、経験上、「9よりも10に賭けるほうが得」と考えていたようです。経験と理屈が合わないのでガリレオに相談したようです。
順列と組み合わせの話ですね。組み合わせが1-3-4であっても
9 = 1-3-4 = 1-4-3 = 3-1-4 = 3-4-1 = 4-1-3 = 4-3-1
これを分けていなかった。
サイコロの和が10になるのは12.5%。9になるのは11.57%。
1%程度の違いに気づく賭博師、すごいです。1%の違いでも、他の人が知らなければ勝てるわけです。
経験だけで気づくようなこんな人と勝負しても勝てるわけがない。
胴元がいるギャンブルは、やらないのが正解
ギャンブルで勝つ方法はあります。期待値以上の賭けだけをしていればいい。
たとえばボーダー以上に回るパチンコ台。過剰人気・過小人気による、いわゆる「オッズの歪み」がある公営競馬での投票。どちらも期待値以上になれば、長期的には勝てます。
ただ、パチンコはとことん回らない。エヴァンゲリオンや冬ソナがやりたくて一時通ったことがありますが、オンラインパチンコでの回りを知ってしまったらアホらしくなる。オッズの歪みを計算して適切に購入するのは人間技では無理。
AIを利用した馬券自動購入で利益を上げる人が増えれば増えるほど、配当が下がる。
胴元がいるギャンブルや、完全確率でないギャンブルはやらないことが「ギャンブルで負けない最良の方法」です。冒頭に書いたカルダノの言葉どおり、やらないのが最大の利益になるのかもしれません。