馬事学院、通称バジガクのYoutubeチャンネルにアップされていた引退競走馬の現状を語った動画が秀逸だったので紹介します。
バジガク代表の野口さん、馬の学校の生徒たち、そして競走馬生産者のヴェルサイファームの岩崎さんが、引退競走馬をどうしたら救えるのかを1時間にわたって語っています。
引退馬の行方に関心のある人は絶対見るべし。
引退馬を救えない現状がここにある!引退馬を救う本当の課題が直面!(動画直リンク)
引退馬の話の行き着く先はカネと人ですが、そんな現状を踏まえた上で、業界の一員として、できることを模索しています。口にしづらい現実にも触れており、生徒たちの意見にもきちんと向き合っている。ああ、いい学校だなと思いました。
もっとも印象的だったのは、野口さんの(勝てない馬たちを)「どうリスペクトしていくか」という言葉でした。実績を積める馬は何もしなくても生きながらえることができるし、ファンたちの歓心も得やすい。しかしそうでない馬は牧場のスタッフの他に顧みられることもなく、ただいなくなるだけ。そんな馬に対してできることはないけれど、せめてそんな馬もたくさんいることは忘れずにいたいね、と思いますね。
動物の使役が忌避されかねない現代において、競馬の社会的な位置づけは流動的になっています。競馬業界が”今、ここで”、引退競走馬問題にきちんと向き合わないと、ファンが冷めてしまって産業そのものが危機に陥りかねない。野口さんも岩崎さんも、そんな現実に強い危機感を持っていることが伝わってきます。
引退馬に目を向けたことで、気持ちの持って行き場のなくなった競馬ファンの心情を的確に捉えていると思います。競馬業界に生きている人たちがそんなファンの気持ちを理解した上で、持続性を前提に、できることを考えて頑張って実行することが、今一番必要なことでしょう。
キレイ事ばかりでは済まないこともあるし、そこ避けてるよね、と思うところはあります。しかしそれはそれ、です。
競馬産業で働くと口にしづらくなるであろう話を、多感な時期に語り合うことができる環境はいいですね。動物福祉の観点から競馬も含めた畜産業界は厳しい時代に入りますが、こういう経験をして様々な視点を持っていれば、粘り強く解決策を模索する力になるでしょう。
『引退馬支援』代表的な団体と支援方法引退馬支援Q&A 支援する意義と必要とされる背景競走馬の抹消事由 引退馬の行き先をグラフ化 1位は乗馬の2,702頭