『引退馬支援』代表的な団体と支援方法

リラックスした馬

競馬が好きで競走馬の引退後の支援をしたいけど、どこがいいのか分からない。

そんな理由から、引退馬支援への一歩が踏み出せない人もいるようです。

最近ではJRAの角居調教師が発起人の一人となっている Thanks Horse Project の名前をよく耳にするので、TCC(サラブレッドコミュニティクラブ)がまっ先に思い浮かぶ人も多いと思います。

TCCはメディアでも取り上げられているので知名度は抜群ですが、その他にも引退馬支援をしている組織は数多くあります。

ただ、団体ごとに支援の方法や寄付の受付方法(方法というか呼び方と制約)が異なっているため、やや分かりにくいところもあります。

そこでこのページでは、代表的な引退馬支援団体とサポートの方法をまとめました。

セカンドキャリア支援と余生支援

個別の団体の紹介に入る前に、まずは引退馬支援の枠組みから。

引退馬支援は文字通り引退した馬のサポートをする活動です。引退馬には競馬から引退馬したばかりの比較的若い馬と、繁殖や乗馬といった仕事から引退して余生を過ごす馬の2通りがあります。引退時の年齢や状態によって、乗馬やセラピーホースになるための再トレーニング支援、または老後を過ごすための余生支援になるかが決まります。

  • 競走馬生活から引退したばかりの若い馬の再トレーニング
  • 乗馬・繁殖などの第二の馬生から引退した隠居馬の余生支援

競走生活から引退した馬はまだ若い馬が多く、年齢的には乗用馬や馬術競技馬として働くことができます。人の役に立てば食い扶持に困らず生きていける。

しかし競走馬としての訓練を受けた馬は、プロが乗って早く走らせることだけを教え込まれています。そのためふつうの人には乗れません。

競走馬をふつうの人でも扱えるようにするには、再調教(リトレーニング)が必要となります。

再調教とそれにかかる費用を賄うことを「セカンドキャリア支援」といいます。セカンドキャリアは第二の馬生とも呼ばれ、馬がその先も生きていくための手立てを講じます。

セカンドキャリア支援で適切な調教を受けた安全な馬が広く行き渡ることで、馬がより身近な存在になるメリットもあります。

もう一つの余生支援は、競走・繁殖・乗馬などの活動から引退した「ご隠居馬」を対象としています。

余生牧場や引退馬牧場とも呼ばれる養老牧場に引き取られた馬や、引き取った馬を最後まで面倒をみたいと考える団体・個人の活動を支援をします。観光牧場での引き馬など、現役を引退してからもできる仕事をすることからサードキャリアと呼ばれることも。

余生支援では月々にかかる飼養費を負担します。会員として、あるいはでFP(フォスターペアレント)と呼ばれる里親となって個々の馬の余生の費用を受け持ちます。

乗用馬へのリトレーニングを行える団体では再調教と余生支援の両方を担っていますが、多くの支援団体や個人は、老後の余生支援を行っています。

引退馬支援Q&A引退馬支援Q&A 支援する意義と必要とされる背景

 

一般的な支援方法

引退馬支援にはどんな支援法があるのか。

  • 会員になる
  • 里親になる(フォスターペアレント)
  • 寄付をする
  • ボランティアをする
  • グッズを購入する
支援方法はおおむねこの5つに分けられます。

「会員になる」は、毎月あるいは年ごとに会費を払って会員となり、運営を支援します。会費は組織の運営費や馬の支援の費用として使われます。

「里親になる」は、ある馬の飼育費を毎月負担する支援方法です。

英語のフォスターペアレントからFPとも呼ばれます。特定の馬のFPになることもできますし、支援が足りない馬の費用に割り当てられる無記名FPという方法もあります。

FPになると一定の期間の責任を負う場合もあります。

「寄付をする」は文字通りの寄付をすること。そのとき限りでお金を送ります(会員と違い定期的にお金を送る必要がないということ)。

「ボランティアをする」は、その団体の運営やイベントのサポートなどを行う支援です。

その他に、ノベルティ・グッズを購入するという方法もあります。

手軽さだけを考えると「寄附」が一番です。しかし寄附では会員向けの会報などが頒布されないので、一定額を毎月払う「会員」が一番とっつきやすいと思います。

その他分からないことはQ&Aをご覧ください。

なお、会員登録はwebフォームから申し込みを行えても、オンラインだけでは完結しないこともあります。

引退馬支援Q&A引退馬支援Q&A 支援する意義と必要とされる背景

 

引退馬協会(認定NPO法人)

古くから引退馬のサポートをしてきた「イグレット軽種馬フォスターペアレントの会」を前身とする引退馬支援のNPO法人です。

会計報告もサイトで公表されています

引退馬協会は馬の余生のサポートや、競走馬を乗用馬にするための再調教による再就職支援といった一般的な引退競走馬支援のほか、「次の馬生への支援 」、「東日本大震災の被災馬支援」を行っています。

引退馬協会により再調教された馬は、終生面倒を見ることを条件に無償で譲渡されます。譲渡前に飼養される環境を確認して可否を判断。譲渡後もその馬に対するフォローがなされます。

引退馬協会の支援方法としては、月々支払う会費や里親費用負担、寄付、ボランティア参加があります。

さらに金銭的な負担をせず、気持ちの応援として活動に関われる賛助会員も募集しています。

賛助会員は会費がかからない会員なので、まずは引退馬支援が具体的にどんなことをしているのかを知りたい人も参加できます。

引退馬協会は認定NPO法人なので、引退馬協会あての寄付は優遇税制措置が受けられます。優遇税制の適用には確定申告が必要になるのでお気をつけください(年末調整では対応できない)。

例外として「引退馬ネット事業」で行われる他の引退馬支援団体サポートには優遇税制は適用されません。

会員

会員は引退馬協会の「会員」となることで活動を支援します。賛助会員を除き、毎月会費を払うことになります。

  1. 一般会員
  2. フォスターペアレント会員(FP会員:馬の里親)
  3. 後援会員(毎月の寄付)
  4. 賛助会員

①一般会員

一般会員は「正会員」のこと。

一般会員は会員証が得られ、社員資格(議決権を得られる:活動方針にも関与できる資格)を申請することもできます。1口1,000円。

②フォスターペアレント会員

正会員かつ特定の馬の里親となり、飼養の費用を毎月負担する会員です。

正会員としての会費のほか、馬の維持管理費として2,000円(0.5口)~の支援ができます。

③後援会員

毎月寄付をする形の会員で、一口1,000円~の支援ができます。正会員とは異なり社員になることはできませんが、寄付行為なので優遇税制を受けることができます。

後援会員の場合は、一般会員、またフォスターペアレント会員と同時になれます。

他の会員になった上で、追加の支援を後援会員として行うことで、追加分を優遇税制措置を受けることができるという枠組みです。

④賛助会員

会費などの費用はかからない会員です。費用負担は辛い、あるいはそこまでではないけれど応援したい気持ちがある人でも引退馬協会の会員になることができます。

賛助会員は会員向けの通信を読むことができるほか、ボランティアやイベントへの参加資格があります。

入会について詳しくは

引退馬協会入会案内

 

寄付

会員として毎月寄付をする「後援会員」とは別に、一般的な寄付での支援もできます。

  1. 引退馬協会に寄付をする
  2. 特定の活動に寄付をする
  3. 引退馬ネットのサポートホース

①引退馬協会に寄付をする

引退馬協会の活動に寄付をする方法です。優遇税制対象。

②特定の活動に寄付をする

「次の馬生への支援 (対外支援・外国産種牡馬支援・警視庁騎馬隊退役馬支援)」と「東日本大震災の被災馬支援」。優遇税制対象。

③引退馬ネットのサポートホースへの支援

引退馬協会で行っている「引退馬ネット」に参加している引退馬支援組織(牧場などや個人)の馬への寄付金です。優遇税制対象ではない

引退した馬の余生を支援

認定NPO法人 引退馬協会

 

グッズなどの購入

引退馬協会の販売するグッズやアイテムを購入することで、販売利益が支援金として用いられます。

いわゆるチャリティグッズです。イベントなどでの出展ブースや、販売委託をされている「ホースファクトリー」のサイトから購入できます。

ホース・ファクトリー

馬の支援になるグッズ

 

引退馬ネット事業(引退馬支援団体のサポート)

引退馬協会の運営する「引退馬ネット」事業では、引退馬を引き取って飼養する個別の支援組織(個人も含む)へのサポートを行っています。

引退馬を引退馬協会が直接引き取るばかりでなく、引退馬を飼養したい団体への運営支援や寄付・サポーター募集の手助けをすることで、自律的な引退馬支援が行われる枠組みを提供しています。

引退馬ネットでのサポーター募集は、支援を必要としている団体にとっては助言や手助けが得られるなどのメリットがあります。

寄付する側にとっては引退馬協会が間に入っていることで、安心して支援ができる枠組みになっています。

馬と人をつなぐ

引退馬ネット

 

サンクスホースプロジェクト

一般財団法人 ホースコミュニティを中心として引退馬を支援するプロジェクト。JRAの角居勝彦調教師がかかわっていることでも知られており、メディアでもよく報じられています。

しかしスキームが丁寧に説明されているとはいいがたく、初見では分かりにくくなっています。

  • 一般財団法人 ホースコミュニティ(寄付)
  • 株式会社日本サラブレッドコミュニティクラブ(旧スタイルバンク株式会社)引退馬ファンクラブTCC(会員になることと寄付とFP)
  • NPO法人 吉備高原サラブリトレーニング(ふるさと納税・Tポイント・現金での寄付)

3つの組織がそれぞれが別々に寄付を受け付けています。

別々の組織が連携していると考えればどうということはないのですが、サンクスホースプロジェクトの「私にできる支援」では並列になっているため、ときおり混乱する人がいるようです。

混乱する一番の原因は頭に番号がついているからだと思います。★や●といった記号なら別々の項目と分かるので、そこまでややこしくなくなるはず。

引退馬支援Thanks Horse Project

 

かんたんに表現するなら、各組織はサンクスホースプロジェクトとして総体として連携している。しかしそれぞれ異なる組織なので寄付先は別ということです。

吉備高原サラブリトレーニング(NPO法人)

競馬生活から引退した競走馬を、乗用馬・馬術用馬に再調教(リトレーニング)するNPO法人。サラブレッドのリトレーニングセールはニュースでも取り上げられていますね。

吉備中央町のガバメントクラウドファンディングにより、ふるさと納税の寄付先になっています。もちろん通常の寄付もOK。

活動計算書:吉備高原サラブリトレーニング – 内閣府

 

ホーストラスト(NPO法人)

昼夜放牧を行っている養老牧場。預託馬も受け入れています。

競馬から引退した功労馬の繋養をはじめ、仕事から引退した馬の余生をサポート。

引退馬の数に応じた牧場面積を確保することで自然状態に近い群れでの生活を送らせるシステムです。

広い放牧地が必要な反面、必要な人の手を減らせるため預託料も月3万3千円と非常に安くなっています。

放牧しっぱなしといっても放置するわけではなく、馬の状態はチェック。場合によっては放牧地を変えたり、あるいは制限するなどの措置を取っています。

馬の性格ごとにある程度分けて飼育されますが、その理由は自然状態も楽じゃないから。

スイスインフォに掲載されている同じような環境の牧場の紹介から引用。

 馬は2頭から3頭の小グループを作り、広々とした草原でほとんど野生に帰ったような生活を送る。しかし、初めてホームに来て仲間入りするのは難しい。まずグループから遠く離れ、少しずつその距離を狭め3日間から10日間で小グループに認められる。が、その後リーダー的性格の馬は大変だ。小グループから構成される60頭の大グループの中で目立ちたがり、まとめ役のボスから蹴られて大けがをしたこともあったとか。

しかし、美しい出会いもある。親友ができたり、カップルが登場したりする。「カップルの場合は厩舎内の2頭入れる馬房に入れる」という。

穏やかな老後を「老馬ホーム」で – SWI swissinfo.ch

考えてみたら馬が自由恋愛できるのは、こういう環境に置かれたときなんですよね。

名前の由来はイギリスの “Horse Trust” ではなく、”National Trust” とのこと。

一定期間馬の飼育費を負担する「トラストスポンサー」と、一般的な寄付である「トラスト基金」への支援方法があります。

トラストスポンサー

トラストスポンサーは一口3千円として、3万3千円の預託料を支援者が負担することで、馬を支援する仕組み。

トラストスポンサーとしては、馬付スポンサーと無記名スポンサーがあります。馬付きスポンサーは特定の馬の一生を支援する制度。無記名スポンサーは、1年2年3年5年の期間、スポンサーになる仕組みで、支援する馬が変わることがあります。

通常のトラストスポンサーは11口で3万3千円を負担するのに対し、功労馬として引退名馬繋養展示事業の助成金がある馬は、足りない分の費用をスポンサーが支援する仕組みになっています。

トラスト基金

トラスト基金は一般的な寄付。トラストスポンサーとは別勘定で馬の医療や施設備品などの購入に充てられる。収支報告も公開されています。

賛助会員についてはサイトをご覧ください。

活動計算書:2017年度事業報告書

ホーストラスト(鹿児島)

ホーストラスト

 

ホーストラスト北海道(NPO法人)

ホーストラストとほぼ同じ。

ホーストラストと同様に原則昼夜放牧。1ha当たり約1頭の放牧地に群れで放牧。預託料は3万6千円。

放牧地内には草地、広葉樹林、針葉樹林、水場、砂場があり、自然状態で生活しています。

馬の状態によっては完全放牧ではなく、人間の監視下に置かれます。

トラストスポンサー

トラストスポンサーは月額1口3千円として、12口3万6千円分を支援者が負担する仕組み。

「馬付きスポンサー」は特定の馬のスポンサーとなって終生サポート。「無記名スポンサー」は特定の馬ではなく、1年2年3年5年と期限を区切ってスポンサーになる仕組み。スポンサー馬は変わることも。

トラスト基金

一般的な寄付金。トラストホースの費用とは別勘定で治療や備品などの購入に充てられています。

賛助会員についてはサイトをご覧ください。

事業報告書:NPO法人ポータルサイト

現役を引退した馬たちが、幸せに余生を過ごせるように

ホーストラスト北海道

 

”馬と暮らせる町…標茶”事業(北海道標茶町:ふるさと納税)

「馬を核とした地域づくり」を目指して北海道標茶町と民間事業者(道東ホースタウン推進協議会)が官民連携で取り組む「道東ホースタウンプロジェクト」。

道東ホースタウンプロジェクトでは乗用馬の生産・育成・引退馬の飼養・乗馬環境整備を行い、生産から引退馬までを包括した馬の循環を形成。

乗馬クラブや乗馬施設で働いていた引退馬の引き取りを通じて「関係人口」を創出を目指しています。

標茶町の実施するふるさと納税を活用した「がんばった馬たちに、終の棲家を。”馬と暮らせる町…標茶”事業」では、寄付金を施設の整備や預託費の一部に充てることで引退馬の引き受け環境を整備します。

馬の生産を担ってきた標茶町の地域性を活かし、ふるさと納税を活用して馬を核として町おこしをする、ということです。

「馬と暮らせる町」の事業主体は標茶町。ふるさと納税で寄付金が多く集まったからといって、もともとの予算を削るということはなく、全額を馬の活用事業に使うとのこと。

引き受ける引退馬は乗馬クラブ・施設で不特定多数のために働いた馬のみ。。

ページ下にふるさと納税へのリンク

道東ホースタウンプロジェクト

 

おことわり

好きだった馬を支援したい、あるいは楽しませてくれた馬たちに幸せに長く生きて欲しいという気持ちがある方むけに、支援の入口となる情報を掲載しています。

紹介している支援団体をおすすめしているわけではありません。

競走馬の余生のために支援したい気持ちを抱いた人向けなので、支援しなければいけないといったものではありません。

競馬を楽しんでいるからといって、馬の行く末に後ろめたさを感じる必要もないと考えています。

支援したいと思ったら、まずは各支援団体についてご自身でも調べてください。組織だったところばかりでなく、ほぼ個人で引き取っている飼養者が支援を募っていることもあります。

そしてその支援団体に納得できたなら、活動に携わってみてください。

引退馬支援Q&A引退馬支援Q&A 支援する意義と必要とされる背景

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