馬に乗りたいけど、自分の体重では馬の負担になるんじゃないかと心配になる人、いますよね。馬が身近でないのに、負担を考えられるのは素直にすごいと思います。ほんと優しい人なんだろうなと。
筆者は「体重制限あるから平気」と思ってしまうタイプなので、気にしたこともありませんでした。
一般に、乗馬クラブや観光地の乗馬体験の案内には、年齢と体重の上限が記載されていることが多いです。
結論から書くと、騎乗者の体重が「馬の体重の20%~30%程度」なら、とくに心配する必要なし、ということです。
乗馬施設・クラブでの制限
観光牧場のポニーなら体重70kg以下の制限があったり、乗馬クラブの体験乗馬なら「80kg以上の方はあらかじめお伝え下さい」といった文言を目にします。
騎乗者の体重の上限は、所有する馬のサイズやクラブ・乗馬施設の方針によって異なります。引き馬で10分歩くだけなら重めでも影響は少なく、初心者乗馬なら馬の負担は大きくなる。そのためまちまち。
乗馬クラブ最大手の「クレイン」のウェブサイトにはこう書かれています。
体重制限や身長制限はあるの?
乗馬体験にご参加される方の身長・体重・年齢・体格などの理由で、危険と判断される場合はご予約をお受けできないことがあります。乗馬クラブクレインでは下記を目安としておりますのでご予約の前にご確認ください。【身長】 馬を操作するため125cm以上が目安です。
【体重】 90kg以下が目安になります。
【年齢】 6歳(小学生)以上の方が対象となります。
【体格】 騎乗時に人馬共に重心が崩れない方が対象となります。
不安のある方はお問い合わせの際にご確認ください。
クレインでは体重90kgを目安としていますね。それほど気にしなくてもいいとは思いますが、心配なら体験乗馬の予約の際に訊けばいいです。
馬の載せられる重要の研究もある
「馬の体重の20%~30%くらいの重さなら馬の負担にならない」
冒頭に挙げた目安ですが、これは、研究でも示唆されています。
馬は重いものを運搬できますが、重すぎるものを背負えば背中や足元を痛めてしまいます。江戸時代、日本在来馬(小型でポニーに分類される)荷駄馬は140kg 以上の重量物を載せて運んでいましたが、人間とは重心が異なるのでおそらくあまり参考にはならない。
上限が30%という数字は、北里大学獣医学部の研究により裏付けられています。
平均体高144cm、体重340kgの6頭の道産子(北海道ネイティブホース)を使った実験では、それぞれの馬に加速度計をとりつけ、歩法ごとに一定速度で走ったときの歩様の乱れを測定。
騎乗者の体重を66kgからはじめ段階的に増やしたところ、95kgまでは安定していたのに、100kgを超えたところで不安定になったというもの。
この結果、馬装の重量を考慮して騎乗者と馬の安全性を考えると、積載重量は馬の体重の29%である100kg以下にすることが望ましいとしています。
理想を言えば馬の体重の10%未満
馬体重の30%が上限だろうという研究がある一方で、馬の体重の10%未満がもっともパフォーマンスがよいという結果があります。
理想を言えば10%。しかしこれでは500kgの馬でも体重50kg未満が求められることになり、一般的な競馬の負担重量よりも少ない数字です。現実的ではない。
10%を超えた場合はパフォーマンスは落ちてしまいますが、20%まではあまり変わらず。
20%を超えると馬への負荷が厳しくなり、25%を超えると明らかに息が乱れて心拍も上がる。
騎乗者の体重から逆算すると、多くの人は馬の体重の15%前後になるようです。
20%までなら馬の負担にならないことから、馬の福祉との兼ね合いで、馬装も含めて20%くらいまでが適当という判断があるようです。
騎乗者の重量が馬の体重の20%という数字は、はからずも1920年のアメリカ合衆国騎兵隊の馬管理マニュアルに記載されていたものと同一のようです。
あまり心配する必要なし
馬の体重の2割までとしても、550kgの馬なら110kgまで載せられるので。よって体重が100kgの人でも乗馬は楽しめることになります。600kgの馬なら120kg。体重についてはそれほど心配する必要もないですね。
ポニーしかいない牧場などでは、体重によっては断られることもあるかもしれませんが、管理者が判断するのでお客さんが心配することもありません。あまり気にせず訊いてしまいましょう。
また、鞍数が増えれば馬にかかる負担も減りますし、事実上体重制限はないと言ってもいいのでしょう。
しかし体重によっては大きめの馬が必要となります。一定の体重を越える人に予め伝えるよう記載している乗馬施設は、配馬(馬の割り当て)の都合上知っておきたいということなのでしょう。
江戸時代の馬は40貫目(150kg)積み、この時代の馬=木曽馬(350kgくらい)と考えてよい…のは東日本の話で、西日本では馬=与那国馬(200kgくらい)の方がむしろ近い様な地方もあった。が、幕府が決めた 馬は40貫目積み は全国共通。おまけに重量オーバーの荷物も珍しくなく、そうなると馬は自分の体重と同じくらいの荷物を背負わされることになる。
朝青龍の馬はモンゴル馬でサラブレッドより小さい。木曽馬同等の体重。馬体重の半分くらいの斤量を背負うことになる。
ポニーに大人が乗ったポニー競馬も、馬体重の半分くらいの斤量を背負って走っている例が多いように思う。「ちびうま団」の120kgほどのポニーの騎手は決まって60kg台の調教厩務員だった…ように思う。
このように考えていくと 馬体重の半分位の斤量は殆ど当たり前にすぎない…と言いたくなる。
これでは、馬の負担が大きい。歩様が乱れ 息が乱れて心拍も上がる…かもしれない。
が、自分的に見れば、500kgのサラブレッドがほんの片手間的に自分を運んでくれるより 120kgのポニーが持てる力を振り絞って自分を運んでくれる方がうれしい。だから、両方が並んでいてどちらでも選べるのならポニーの方を選びたいような気分。下で 歩様が乱れ 息が乱れて心拍も上がっていても 気にせずどんどん蹴って催促 出せるスピードは乗り手の技量が支配的だからどうせ大して変わらない。小さいポニーのほうが 乗り降りも楽だし、第一エサ代が安く世話も楽(低燃費⇒低料金に繋がる) 乗物として使うにはこれで十分。大きな馬のほうがパフォーマンスが良い事は否めないとしても、費用に見合うか否かは大変疑問 ・・・・
この辺の考え方の問題ですね
下手くそさん
40貫といっても馬格によって変わるんですよね。地域によって運用が異なっていたのではないかと思うのですが、その辺り詳しいことをご存知でしたら教えていただけませんか?
ただ、江戸末期には若干とはいえ軽減されていますから、やっぱり重すぎたんじゃないの?とは思っています。
20%や30%という数字は荷駄と人とではまた異なりますし、歩様が乱れたからといってすぐにどうこうなるわけではないので目安ですね。福祉を考慮すると余裕をもたせる必要がありますし、運動量との兼ね合いも考えてその辺りは飼養者の判断次第ですね。
海外の馬車馬には車両の重さは体重の3倍までといった規制があったりしますが、余裕をもたせまくってますからね。