オリンピックチケット、抽選に外れた人が多いのは飢餓商法ではなかろうか

6月20日に東京オリンピック2020のチケットの抽籤結果が発表されると、ネットに続々と抽選にハズレた報告が上がりました。目いっぱい申し込んでだのに、全てハズレたという人の証拠画像もチラホラ。

開会式と閉会式を含む多数の競技チケットが当たった運のいい人もいたものの、大半がハズレた報告でした。

大量のハズレ報告を見ていて思ったのは「これは飢餓商法(品薄商法)してるんだろうなー」ということ。あくまで印象なので、与太話程度に読んでください。

飢餓商法は、商品の入手を困難にすることで希少性を演出し、購買意欲を高める商法。「手に入らない人が出るほどの人気ぶり」が報道されると注目が集まり、購買意欲を煽られるしかけ。

ハズレ報告が多いのは不思議ではない

東京オリンピック2020チケット抽籤申込みの日程を振り返っておきます。

  • 申込期間は5月 9日(木)から5月28日(火)まで
  • 抽籤結果の発表は6月20日

この後も先着順や都内に設置される予定のチケットショップでの販売や、購入者が転売するためのリセールサイトが設置される予定となっています。

今回の抽籤申し込みは複数あるチケット販売の1回目でしかなく、用意されているチケットの全てが売りに出されているわけではありません。

今回は申込み時に料金を支払わないですむ仕組みであったため、申込枚数が多くなるのは必至。ハズレが多くなっても不思議ではありません。募集期間と料金の払い込み時期がズレているので、とりあえず申し込んでみて後から考えるつもりの人もいたことでしょう。

今後は先着順販売やチケットセンターでの販売に加え、スポンサー企業のプレゼントや旅行代理店のツアーなどの形でチケットが出回ります。さらにオリンピック組織委員会や各競技団体の抑えている分も、オリンピックが近づいてあまった分が何らかの形で流通することでしょう(JRAはチケット枠を持っていないという話は後述)。

そんなこんなを考えつつ報道やネットの当落報告を眺めていたら、飢餓商法(品薄商法)してるんだろうなーという印象に落ち着きました。

本来の申し込み期限が5月28日までであったにもかかわらず、最終日である28日になってからの申込者数が増えたという理由で、締め切り時刻を半日伸ばしてしまった。それこそ100万人単位、1時間単位の待ちが発生するほど申し込みが殺到したのだから、倍率が上がらないわけがないのです。

これで割りを食うのは期日を守って申し込んだ人。

かりに申込数が少なく、全員が当選の競技があっても問題はありません。まだまだ入手の機会はあるのだから、次回や今後の発売スケジュールをアナウンスすればよかった。

期日を伸ばしたのは希望者が多いからと言えば聞こえはいいけれど、プレミアチケットを演出する意図がないとは信じがたいのです。

 

JOCの広報不足・説明不足

あまりにもハズレ報告が多いことを受け、スポーツライターの小林信也氏は「おもてなし精神」が欠如していると、チケット販売戦略を批判しています。

本来なら、買いたい人、見たい人が「普通に購入できて当たり前」のシロモノではないか。これだけ東京五輪への関心を煽って、結果的に多くの国民が見られない、そんなイベントは間違っている。

東京五輪チケット落選率に見る、組織委の「おもてなし精神」欠如ぶり |  ダイヤモンド・オンライン

希望者が多く観戦できない人が発生するのはいたしかたないところがありますが、そもそもおもてなしするつもりがあるのか疑問です。

というのも抽籤方式にもかかわらず初日にアクセスが集中したり、最終日に人が殺到したのは広報不足、説明不足に他ならないためです。

忘れないうちに申し込みたい人が受け付け初日に集中したり、最終日まで気にしないといったことは多かれ少なかれ生じますが、今回は規模が大きすぎた。

夏休み最後の日に慌てて宿題を頑張るがごとく駆け込んだ人が多かったため、温情で受け付け期間を「延長」を決めた。結果としてプラチナ感がアップしたという印象です。

「東京五輪の入場券はとんでもないプラチナ・チケット」「入手が限りなく困難」という認識だけは明らかになった。これは、次の入手方法である「スポンサー企業が展開するチケット応募キャンペーン」へと誘導する広報戦略としては、抜群の効果をあげたといえるだろう。

同上

最終日に申し込み希望者が殺到しているのに期限を延長すればハズレる人が増えるのは分かりきった話で、希少性が上がるのは当然の結果。狙っていなければまずやらないでしょう。

 

普通に考えれば、まだまだ入手の機会はあります。宿題は夏休みが明けてから頑張っていた筆者としては、なんでそんなに騒ぐのか不思議なところもあります。

2019年秋以降の販売やスケジュールや、リセールサイトの設置、旅行代理店のツアーなどでの入手ができることをチケット販売ページのトップで案内すれば「次の機会に期待」となるのに、そういった当たり前のことをしていません。

すぐに書き換えられるサイトですらこのありさま。プレミア感の演出をしていないのなら、利用者の視点が皆無なのでしょう。

(もっとも竹田恒和元JOC会長の贈賄疑惑への対応を思い起こせば、オリンピック委員会に公共性・公益性の意識を期待するほうが間違っているのかもしれない)

販売割当数

今回のチケットの販売数(割合)は公表されていないためすべて憶測となりますが、馬術競技の行われる馬事公苑を例に考えると席数は9,300。このうちの2割を今回販売したところで1,860人分にしかなりません。それぞれ2枚ずつ申し込めば、当たりを引けたのは930人。11セッションで1万人程度。

マイナーな競技とはいえ、馬事関係者と家族、乗馬している人たちが申し込むだけでも、ハズレ続出でも不思議ではないでしょ?より多くの人が入れるみんなで2020チケット分も減るのだから、当たらない人が多いのは当たり前。

この段階の売れ行きで、全部捌けた時のことなど分かるはずもなく。

混乱を避けるためにも、せめて一般販売分の国内と国外の割当数くらいは公表すべきでしょう。

JRAはチケットを持っていない?

馬術に申し込んだ馬術関係者や競馬関係者にも、ハズレた報告が多々みられました。そのうちの一人のJRAの高田潤騎手がJRAにチケットはないかと尋ねたところ、JRA枠はないとの返事が来たそうです。

オリンピックに向けて、日本馬術連盟の多額の強化費用を負担したり、馬事公苑の改修までしているJRAにチケットがないという話は、にわかには信じがたい。

今回のチケット販売は(先行販売的な)抽籤なのでJRA枠といったものはない、割り当て分が使えるようになるのはもっと先といった意味ではないのでしょうかね。あるいは日馬連から分けてもらう形なのかもしれませんが、JRAがチケットを一切割り当てられないというのは大いに疑問です。

このあたりは完全な憶測でしかありませんが、オリンピック関連はいろいろすっきりしないところが多いです。

東京オリンピック2020 馬術競技チケット価格・日程と種目の簡単な紹介